NYの視点:ドラギECB総裁、断固とした措置を公約

2014年11月7日 07:01

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記事提供元:フィスコ


*07:04JST NYの視点:ドラギECB総裁、断固とした措置を公約

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場の予想通り政策金利を過去最低水準に据え置くことを決定した。その後に実施された会見で、ドラギ総裁はリーダーシップを強調した。事前に一部のメディアで、24人いるメンバーのうち7-10人のメンバーが夕食会でドラギECB総裁の運営方針や量的緩和(QE)に関する決定に不満を表明する計画だと報じられたためECBがタカ派に移行するとの思惑も浮上していた。

会見で焦点となっていたリーダーシップに関する質問では、報道を否定しなかったものの「メンバーの意見が相違することは正常だ」と述べたほか、夕食会ではいかなる懸念も提示されず、「今まで以上に良好な会だった」と強調した。市場にあった総裁交代やイタリア人であるドラギ総裁が現職を辞任しナポリターノ・イタリア大統領の後任に就くとの思惑を後退させようと努めた。また、全会一致で、必要とあれば追加緩和を講じることを決定したことが明らかになったことも、市場の不安を緩和した。

ドラギ総裁は同時に、メンバーの懸念材料のひとつとして挙げられていたバランスシートの目標水準にも再び言及。先の報道では、ドラギECB総裁が最近の2つの重要な政策に関する言及に不満とあらわにしているとされていた。1)米国ワイオミング州、ジャクソンホールで8月に開催された米連邦準備制度理事会(FRB)主催会合での講演で、低下するユーロ圏のインフレ期待に言及、対処を公約したこと、2)9月の定例理事会後の記者会見でECBがバランスシートを2012年の初旬と同水準にまで拡大すると目標水準を明らかにしたことだ。

ドラギECB総裁は今回の会合でも、欧州の債務危機の真っただ中でユーロ圏崩壊の危機にさらされていた2012年3月の水準までバランスシートを拡大する方針を繰り返した。様々な困難が予想されるものの、ドラギECB総裁が断固とした措置を貫くと捉えられ、ECBがいずれ量的緩和(QE)を導入するとの思惑が再燃。ユーロの先安感が広がった。

■ユーロ売り材料となったドラギECB総裁の発言

「ECBはABSの購入を近々開始」
「購入プログラムは少なくとも2年継続」
「世界中で、政策のサイクルの大きな相違が見られる」
「主要中央銀行の金融政策にかい離」
「主要なメッセージは、他の中央銀行が資産を縮小していく中、ECBは資産を拡大していくことだ」
「バランスシートは2012年3月の水準に戻す」
「必要とあれば追加緩和を講じることで全会一致」
「見通しが下方修正される基調」
「意見の相違は正常だ」
「ECBは特別な手段に関して協議しなかった」《KO》

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