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政治家に訊く:森まさこ自民党参議院議員(1)「男性リーダーは、開拓者であるという自覚を持って女性登用すべし」
【11月6日、さくらフィナンシャルニュース=東京】
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先月、小渕優子議員と松島みどり議員が揃って閣僚を辞任した。いずれも、「政治とカネ」が原因だ。安倍総理は「女性登用の旗は降ろさない」と明言したが、その後、他の閣僚のスキャンダルも続々と噴出。安倍政権に揺らぎが生じている。そこでSFNは、第二次安倍政権で女性活力・子育て支援担当相に抜擢された森まさこ議員に話を聞いた----。
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■女性閣僚がW辞任
横田 安倍首相は小渕前経産相と松島前法相の辞任について、「任命責任は私にある」とした上で、「今回のことで女性の活躍という旗を降ろすことはない」と明言しました。しかし、小渕前経産相の資金問題については、東京地検特捜部が強制捜査に踏み切る事態に発展しました。
そうしたことを背景に、「無理に数合わせで女性を活用したことで女性が輝くための社会自体が脆弱になるのでは」という批判も出ています。
森 非常に残念に思います。
ただ、政界も民間も同じだと思うのですが、女性を登用すると、「彼女は女性枠だ」と言われ、今回のように失敗すると、「やっぱり女性だから」と言われてしまうことには疑問を感じます。
今回の件が、そうした意識を助長させないように望みます。
女性を登用しても、男性登用しても、ミスすることはある。その時に重要なのは、任命者が堂々としていることです。今回、安倍首相は「責任の所在は自分にある」と仰ってくれました。その上で、今後も女性の活躍を推進すると断言した。なかなか言えることではないと思います。
民間企業などでも、メンズ・サークルには「無言の安心感」があって、その中で登用されてきた。だから女性登用に対して、必要以上に億病になっているところがあったはず。
民間もそうですが、一般に女性の方が登用される時は、男性以上に厳しく身体検査されます。だから選ばれた人は非常に優秀。それでもミスは出てきてしまう。男性にはそこまで優秀な人が揃っているのでしょうか。言わずもがな、だと思います。
これまで男性社会できたから、新たにリスクをとってチャレンジするのは実際、大変でしょうが、男性のリーダーには安倍首相のように「自分は開拓者である」という自覚をもっていただきたい。民間企業でも、ぬるま湯にいたままでリスクをとらなければ、今後は、社長としてもやっていけないはずです。
■女性登用策で日本のGDPが13%上昇
横田 なぜそこまで総理は、女性登用にこだわりをみせるのでしょうか。安倍政権は、2020年成果目標として、指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%程度に引き上げると謳っています。「足かせになるのでは」という懸念の声も出ています。
森 女性登用策は我が国の経済を活性化させ、少子化という難問を解消し、社会保障政策を充実させ、この国を次世代に移していく重要な政策です。
某米国投資銀行の調査では、日本女性の就業率が男性並みに上昇すれば、最大でGDPは13%上昇するしいう試算を出しています。
韓国やシンガポールなどアジアの先進国は同じように少子化に悩んでいますが、先頭をはしっているのは日本です。だから他国は皆、日本が今後どうするかをみている。
女性が活躍でき、男女で子育てと仕事を両立できる社会を創る----国民の皆様に、政治の混乱でご心配をかけたことについては謝罪しますが、女性登用策は我が国の将来のためにやっているのだということはわかっていただきたい。女性の力はいまだに活用されていない資源の最たるものです。
もし女性が失敗したら、「彼女」に責任を押しつけるのではなく、チームの責任だと考えるべきです。本当に酷い失敗をしたら男性と同様に降格させればいいし、責任をとらせればいいのです。
横田 確かに、実力とガッツがあれば、そこからまた這い上がってくることも可能です。ところで、森さんは、クォーター制度についてはどのようにお考えなのでしょうか。
森 ひとくくりに、クォーター制度といっても、強から弱までいろいろある。どこの業種で実行するかによっても変わってきます。
仮に、政治の分野で3割に達するまで、比例で女性候補を立て続けて、達成したら男性の候補も立てていいことにするなどいろいろあります。
日本企業で一番多いのは、「ゴール&タイムテーブル」という目標制度にして、そのために策を考え実行する。実現できなければ、反省して、また別の策を練りトライするというやり方です。
企業については、目標設定と同時に日本型ビジネスの風土にあわせたリーダーシップ教育や女性特有のキャリア教育の必要性が急務ですので、その点について、次回、突っ込んでお話させていただきます。【了】
森雅子/もり・まさこ
1964年、福島県いわき市生まれ。東北大学法学部卒業後、27歳で司法試験に合格(司法研修所第47期)。95年、弁護士登録。98年、独立し弁護士事務所設立し、消費者事件を中心に手がける。ニューヨーク大学ロースクールを経て、金融庁に任期付職員として入庁。消費者保護活動に奔走。2007年、参議院議員選挙に自民党公認で福島県選挙区から出馬し、初当選。現在2期目。著書に「あきらめずまっすぐに」(グラフ社)がある。HPに森まさこ参議院議員オフィシャルサイト(http://www.morimasako.com)。
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※この記事はSakura Financial Newsより提供を受けて配信しています。
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