追加緩和で師走相場は強い、ただ緩和→株高→資産効果→景気浮上につながるかどうか見所=犬丸正寛の相場展望

2014年11月4日 09:17

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 来週は11月最初の週であり、同時に、「師走相場」入りである。幸先よく日銀の追加金融緩和が出たことで今年も昨年同様に師走相場は堅調が予想される。

 10月31日に黒田日銀総裁は追加の量的金融緩和を決めた。長期国債買入を年50兆円から80兆円、ETF(株価指数連動型投信)買入を1兆円から3兆円、J-RETT(上場不動産投信)買入を300億円から900億円へそれぞれ拡大する。昨年春の異次元金融緩和と比べ効果がどうかは見方の分かれるところだろうが、週末31日の日経平均が一時875円高の1万6533円と年初来高値を更新したように株式マーケットに対する効果は大きい。

 昨年の場合はどうだったか。4月の金融緩和のあと5月に相場は大商いの中で天井を打った。この学習効果からマーケットが今後どう動くか。仮に、昨年と同じように一気に買いつくと昨年5月の二の舞となる心配がある。逆に、昨年の反省から慎重な投資態度ら相場は息の長いものとなる可能性がある。

 ポイントは昨年春の緩和の時は、驚きが大きかったこともあって、株高→資産効果→消費増加に繋がった。今回もこの図式が同じようにうまく機能するかどうかだ。うまく景気刺激にむすびつけば下降懸念の強まっている景気を浮上させることができるため相場はNYダウのような5年半上昇というスケールの大きいものとなるだろう。もちろん、アメリカの場合は家計の株保有率が高いのに比べ日本の比率は小さいためアメリカ型の消費効果は見込めないことは割り引いて考える必要がある。

 今回の株高で消費税10%実施を決断するかどうかも今後の相場に影響する。財政再建の観点ではプラスだが、増税後景気落ち込みを予想すれば上値を買い上がることに警戒感も出るだろう。

 現在、日経平均とNYダウの倍率を現すNN倍率は0.91倍~0.94倍で推移している。この比率の間でNYダウが上がれば日経平均もツレ高し、下がればツレ安の動きを続けている。今年は一時この比率が0.97倍までアップしたが、今度の金融緩和でNN倍率が1.0倍を越えてくるような日本独自の相場を展開できるかどうかが今年の師走相場の見所だろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

来週は11月最初の週であり、同時に、「師走相場」入りである。幸先よく日銀の追加金融緩和が出たことで今年も昨年同様に師走相場は堅調が予想される。

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