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名大、トビイロウンカを餓死させるイネの遺伝子を特定
イネから師管液を吸汁するトビイロウンカ。針状の口(口針)をイネに突き刺 し、栄養分に富む師管液を吸汁してイネを枯死させる(研究グループの発表資料より)[写真拡大]
名古屋大学は、農業生物資源研究所・九州大学と共同で、トビイロウンカに対するイネの抵抗生遺伝子BPH26の配列と機能を明らかにした。
トビイロウンカはイネの主な害虫の一つで、薬剤の仕様や抵抗生遺伝子を持つ品種の開発で防いできた。しかし、近年は殺虫剤が効きにくいトビイロウンカや抵抗生遺伝子を持つイネにも害をもたらす加害性バイオタイプのトビイロウンカが出現している。
今回の研究では、トビイロウンカ抵抗生遺伝子であるBPH26の染色体の正確な位置を特定し、塩基配列と機能を調べた。その結果、トビイロウンカがBPH26遺伝子を導入したイネの師管に口針を挿入しても、師管液を十分に吸汁できなくなり、餓死することが分かった。またBPH26タンパク質は、イネがカビなどの病原菌を認識するために働く病害抵抗生タンパク質と構造が似ていることが明らかになった。
今後は、トビイロウンカに対する抵抗生のイネ品種を開発することで、殺虫剤の使用量を低減し、環境保全型の低コスト農業を推進できると期待されている。
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