NYの視点:来週はFOMC、日銀会合、米Q3GDP、独インフレに注目

2014年10月25日 07:01

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記事提供元:フィスコ


*07:03JST NYの視点:来週はFOMC、日銀会合、米Q3GDP、独インフレに注目

10月21日付けのシカゴIMM、投機・投資家筋のポジションで円の売り持ち高は7月下旬以来の低水準となった。市場の円の売り持ちが減少したことは円の下落余地を広げる。

■来週のポイント

米連邦公開市場委員会(FOMC)、日本の金融政策決定会合、米国商務省が発表する7-9月期国内総生産(GDP)、ユーロ圏、ドイツのインフレ指標が重要な相場材料となる。そのほか、26日に予定されている欧州中央銀行(ECB)によるストレステスト(健全性審査)結果公表やブラジル大統領選挙の決選投票がリスクとなる。

●日本

30-31日:日銀金融政策決定会合、黒田日本銀行総裁会見

米有力ヘッジファンド、ヘイマン・キャピタル・マネジメントの創業者、カイル・バス氏は、来週予定されている中央銀行の金融政策決定会合でいくつかの主要先進国の政策のかい離が露出することになると予想している。過去5年間にわたり、各国中央銀行は金融政策において、同じような異例な緩和策を導入してきた。しかし、28-29日に予定されている会合で、米連邦公開市場委員会(FOMC)が現在実施している資産購入を終了することにより様相が完全に変化することになると、指摘。

その2日後に予定されている日本銀行の金融政策決定会合で、黒田総裁は2%の物価目標を達成するために「whatever it takes何でも行う」方針を示すことになるだろうとのべた。ドラギECB総裁は欧州の債務危機の際、一部でユーロ崩壊するとの警戒感が浮上するなか定例理事会においてユーロ圏の崩壊を防衛するために「whatever it takes何でも行う」と述べた。この発言により、金融市場で欧州への信頼が回復、金融市場を救った。黒田日本銀行総裁の会見で期待されている「whatever it takes何でも行う」の発言が聞かれると、円売りが強まる

●ブラジル

26日:大統領選挙決選投票:労働党のルセフ現大統領対社会民主党(PSDB)のアエシオ・ネベス候補

●欧州

26日:欧州中央銀行(ECB)が欧州金融機関対象としたストレステスト (健全性審査) 結果公表

■ユーロ圏
31日:10月消費者物価指数(CPI):予想:前年比+0.4%(9月+0.3%)、コアCPI:予想+0.8%(9月+0.8%)

■ドイツ
27日:10月IFO企業景況感指数:予想104.5(9月104.7)、景況指数:予想110.0(9月110.5)
、期待指数:予想99.2(9月99.3)
30日:10月消費者物価指数(CPI):予想:前月比-0.1%、前年比+0.9%(9月0、+0.8%)、

欧州中央銀行(ECB)が欧州の金融機関を対象としたストレステスト(健全性審査)結果で、一部メディアは25行が資金不足で「不合格」となり、残り105行が「合格」になると報じられた。一方、ダウジョーンズは「ほぼ半数の銀行が資本不足と判断された」と伝えている。どちらにしても9月の20行から増加する可能性が強く、ユーロ売り材料になると考えられる。

欧州中央銀行(ECB)が米連邦準備制度理事会(FRB)型の量的緩和(QE)を導入するかどうかを見極めるために、ドイツやユーロ圏のインフレ指標に注目が集まる。ゴールドマンサックスのエコノミストは欧州中央銀行(ECB)が米連邦準備制度理事会(FRB)型の量的緩和(QE)を導入する確率を3分の1と見ている。ソブリン債の購入は基本的なシナリオではないとした。最近の欧州に関する経済やインフレの見通しは悲観的過ぎるとの見解。

モルガンスタンレーは40%の確率。QEの導入は財政政策、広範的な構造改革、安定成長協定規制などと同時に行われることになると見ている。JPモルガンは50%。実質経済の次の動きは回復であることを指摘。ドイツ銀行は、物価安定が責務となっているECBが成長やインフレ期待の下方リスクを受けて今後半年以内にソブリン債の購入に動く確率は導入しない確率を上回ると見ている。

HSBC、バークレイズ、バンク・オブ・アメリカメリルはECBによるQE導入をシナリオの中心にしている。シティグループはECBが年内にもQEを導入すると見ている。ユーロ圏のインフレ指標が予想を下振れるとユーロ売りに拍車をかける。

●米国

28-29日:連邦公開市場委員会(FOMC):FF金利誘導目標0-0.25%のレンジで据え置き、資産購入規模を250億ドル縮小し、量的緩和第3弾(QE3)を終了へ

30日:7-9月期国内総生産(GDP): 前期比年率+3.1%(4-6月期+4.6%)

地政学的リスクの上昇、欧州経済が景気後退(リセッション)に陥る可能性が米国経済の成長を抑制するとし、ブラード・セントルイス連銀総裁はFOMCで量的緩和第3弾(QE3)終了の先送りを検討すべきだと主張した。ブラード総裁は2014年の投票権は持っていないが、たびたびFOMCの決定を左右することが多いため、総裁の見解には注目が集まる。市場関係者のほとんどは、FOMCが計画通り量的緩和第3弾(QE3)を今回の会合で終了すると見ている。ただ、ブラード・セントルイス連銀総裁の発言がフォワードガイダンスの変更に影響を与えることは「確かだ」との見方。

FOMCは今回の会合で市場に金利先高観を植え付けないフォワードガイダンスを検討していくことになる。金融先物市場では来年10月の連邦公開市場委員会(FOMC)による最初の利上げを織り込んだ。9月初旬時点では7月の利上げを織り込んでいた。しかし、世界経済への不安が高まったため、利上げ開始時期の見通しが先送りされた。ただ、エコノミストによる7-9月期国内総生産(GDP)の見通しは揺るがず堅調。前期比年率で3.1%増が予想されている。3%の堅調な成長が示されるとドル買いが強まる可能性がある。

●地政学的リスク

ウクライナ紛争
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア

【10/21IMM】

*日本円
ネット・円売り持ち:-71,738(10/21)←円売り持ち:-101,147(10/14)(直近ネット円買い持ち最高水準:08年3/25+65,920、04年2/6+64499)(過去最高ネット円売り持ち高:07年6/26-188,077)

*ユーロ
ネット・ユーロ売り持ち:-159,371(10/21)←ユーロ売り持ち:-155,342(10/14)(07年5/15:+119,538過去最高買い持ち高、10年2/9-57,152過去最高の売り持ち高)

*ポンド
ネット・ポンド売り持ち:-4,485(10/21)←ポンド売り持ち:-2,837(10/14)(07年7/22:直近ネット買い持ち高最高水準+98,366)

*スイスフラン
ネット・スイスフラン売り持ち:-17,862(10/21)←スイスフラン売り持ち:-17,553(10/14)(過去最高スイスフランネット売り持ち高:07年6/19:-79,331)

*加ドル
ネット・加ドル売り持ち:-21,534(10/21)←加ドル売り持ち:-16,167(10/14)(直近ネット買い持ち高最高水準:07年10/12+83001)

*豪ドル
ネット・豪ドル売り持ち:-31,509(10/21)←豪ドル売り持ち:-30,271(10/14)

*NZドル
ネット・NZドル売り持ち:-2,332(10/21)←NZドル売り持ち:-2,384(10/14)

*メキシコペソ
ネット・ペソ売り持ち:-21,124(10/21)←ペソ売り持ち:-5,763(10/14)(直近買い持ち高最高:08年2/29+125,000)《KO》

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