NYの視点:ECB、当面ユーロ安誘導が唯一の手段に

2014年10月22日 07:02

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記事提供元:フィスコ


*07:04JST NYの視点:ECB、当面ユーロ安誘導が唯一の手段に

欧州中央銀行(ECB)が6月にマイナス預金金利などを含めた異例な緩和策に踏み切ったにもかかわらず、欧州は経済が再び景気後退(リセッション)に陥り、インフレの低下が長期化するリスクに直面している。欧州中央銀行(ECB)はすでに発表済みのプログラムであるカバード債の購入を開始した。しかし、ロイヤル・バンク・スコットランドなどのストラティジスとは顧客向けレポートの中で、カバード債の購入による市場への影響は弱く、早期に米連邦準備制度理事会(FRB)型の量的緩和(QE)を導入する必要性があるとの見解を示した。

ECBによるQEがリスボン条約に違反するとし、ドイツはECBによるQE導入に反対する姿勢を崩していない。リスボン条約はECBが財政支援のために国債を購入することを禁じている。ドイツのショイブレ財務相は世界中に資金があふれているほか、欧州にも過剰な流動性が見受けられると述べた。また、追加的な流動性が「市場のバブルにつながる可能性がある」と警告。一方で、ECBのバランスシートは現在のところ1兆ユーロ規模に過ぎず、ドラギ総裁は過去に3兆ユーロにまで拡大させることも除外しない方針を示している。ドラギ総裁はQEを「最後の手段」と考えているようだが、多くの金融機関は「ECBは2015年にQEに踏み切らざるを得ない」との見方を強めている。

とは言え、米連邦準備制度理事会(FRB)、英国中央銀行、日本銀行と違い欧州中央銀行(ECB)によるQE導入には障害が多々ある。ドイツを説得できるにしても手続きが長期化することは必至。一部の為替ストラティジストはユーロ・ドルの売り持ちの利食いを推奨しているようだが、欧州中央銀行(ECB)を始め、ユーロ各国高官は輸出を保護するためユーロの上昇を容認しないと思われる。QEに踏み切ることが困難な欧州中央銀行(ECB)にとって、当面ユーロ安誘導しか手段はない。加えて、資本の流動性もユーロ売り材料になると見られている。マイナス金利を受けて域内の投資家が高利資産を求めてユーロ圏外の資産に投資資金を振り分けている。《KO》

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