【アナリスト水田雅転の株式・為替相場展望】重要イベント通過と9月中間決算発表前で材料難、ただし3日のドル買いと米国株上昇で一旦は安心感優勢

2014年10月5日 16:01

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(6日~10日)

 10月6日~10日の株式・為替相場では、前週末3日の米9月雇用統計を通過し、11日~13日の3連休、そして10月下旬から本格化する9月中間決算発表前でやや材料難となる。ただし米9月雇用統計を好感してドルが買われ、米国株も大幅上昇したことで、一旦は安心感優勢の展開となりそうだ。

 6日~7日の日銀金融政策決定会合に関しては金融政策の現状維持が予想され、事前に追加緩和への期待感が高まっている状況でもないため、波乱なく通過しそうだ。アベノミクス重点戦略は「地方創生」「女性活躍推進」で具体的な銘柄に繋がりにくいが、臨時国会における安倍首相の答弁などでテーマ関連株への関心が高まるかどうか、出遅れ感の強い金融・不動産セクターや東証マザーズ市場へ関心が向かうかも注目点だ。ただし9月中間決算発表前の業績見通しの修正に対して個別物色の動きが基本だろう。

 なお海外要因では、香港の民主化要求デモに対して政府側がデモ排除策を強行すれば波乱要因となる。また8日公表の米FOMC(連邦公開市場委員会)9月16日~17日開催分議事要旨で早期利上げ観測が強まるかどうかも注目点だ。

 前週は1日の外国為替市場で1ドル=110円09銭までドル高・円安方向に傾く場面があったが、日本株は利益確定売りが優勢になって上値の重い展開だった。そして2日は逆に1ドル=108円01銭までドル安・円高方向に傾き、株式市場では日経平均株価が終値で前日比420円26銭安と急落した。国内の景気減速懸念に加えて、香港の民主化要求デモの混乱拡大懸念、中国や欧州の景気減速懸念、米国内でのエボラ出血熱感染患者の確認、欧米の弱い経済指標などが重なって米国株が高値波乱となったことで警戒感を強めた。海外ヘッジファンドを中心に手仕舞い売りが膨らんだようだ。

 ただし注目された3日の米9月雇用統計で失業率は5.9%に改善した。前月比0.2ポイント低下と市場予想以上に改善し、08年7月以来の5%台となった。非農業部門雇用者増加数は前月比24.8万人増加となり、市場予想の同21.5万人を上回った。8月の改定値も同18.0万人に上方修正された。米国の雇用情勢改善を確認した形だ。

 この結果を受けて、外国為替市場でドル・円相場は1ドル=109円80銭近辺までドル高・円安方向に傾き、米国株はダウ工業株30種平均株価が前日比208ドル64セント高と大幅上昇して1万7000ドル台を回復した。米債券市場の反応は限定的だったが、外国為替市場と株式市場では米FRB(連邦準備制度理事会)による早期利上げ観測を強めた形だ。CME日経225先物(円建て)は1万5910円だった。

 週初6日の日本市場は台風の影響で閑散相場の可能性があるが、3日の米国市場の動きを受けて一旦は安心感優勢の動きとなりそうだ。その後は重要イベントを通過して、11日~13日の3連休、そして10月下旬から本格化する9月中間決算発表前でやや材料難となるため、8月中間業績や9月中間業績修正に対する個別物色を基本として、大勢は米国市場睨みの展開だろう。

 6日~7日の日銀金融政策決定会合に関しては金融政策の現状維持が予想され、事前に追加緩和への期待感が高まっている状況でもないため波乱なく通過しそうだが、8日公表の米FOMC(連邦公開市場委員会)9月16日~17日開催分議事要旨の内容次第では、外国為替市場で早期利上げ観測を一段と強めて1ドル=111円近辺までドル高・円安が進行する可能性があるだろう。この場合、早期利上げ観測に対する米債券市場と米株式市場の反応が焦点となる。

 この他の海外要因としては、8日の米アルコアから始まる7~9月期業績発表に対する反応も注目点だ。地政学リスクでは、香港の民主化要求デモの動向に注意が必要となり、政府側がデモ排除策を強行すれば波乱要因となる。国内要因としてはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革関連、日銀金融政策決定会合後の黒田総裁の記者会見、そして臨時国会における安倍首相や主要閣僚の答弁も注目され、主力株の動きが重くなれば新興市場のテーマ株に関心が向かう可能性もあるだろう。

 その他の注目スケジュールとしては7日の日本8月景気動向指数、豪中銀理事会、インドネシア中銀金融政策決定会合、米8月消費者信用残高、8日の日本8月国際収支、日本9月景気ウォッチャー調査、8日~9日の英中銀金融政策委員会、9日の日本8月機械受注、9日~10日のG20財務相・中央銀行総裁会議、10日の日本8月第3次産業活動指数、日本9月消費動向調査、米9月輸出入物価、米9月財政収支、IMF・世銀年次総会などがあるだろう。

 その後は、10月13日の中国9月貿易統計、22日の日本9月貿易統計、28日~29日の米FOMC、30日の米7~9月期GDP速報値、31日の日銀金融政策決定会合・10月展望リポート、11月4日の米中間選挙などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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