極限的な乾燥耐性を持つネムリユスリカの遺伝子を解明

2014年9月16日 00:12

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日本・ロシア・アメリカによる研究グループは、ネムリユスリカの極限的な乾燥耐性をもたらす遺伝子多重化領域と乾燥時特有の遺伝子発現調節機構を発見した。写真は、ネムリユスリカの幼虫(研究グループの発表資料より)

日本・ロシア・アメリカによる研究グループは、ネムリユスリカの極限的な乾燥耐性をもたらす遺伝子多重化領域と乾燥時特有の遺伝子発現調節機構を発見した。写真は、ネムリユスリカの幼虫(研究グループの発表資料より)[写真拡大]

 日本・ロシア・アメリカによる研究グループは、ネムリユスリカのゲノム解析を共同でおこない、極限的な乾燥耐性をもたらす遺伝子多重化領域と乾燥時特有の遺伝子発現調節機構を発見することに成功した。

 ネムリユスリカは、体内の水分が97%失われても生命を維持することができる極限乾燥耐性生物で、水分が失われて干からびても死に至ることのない状態で17年以上も生き続けることが知られている。

 今回の研究では、ネムリユスリカと近縁種のヤモンユスリカとの比較分析を実施した結果、乾燥無代謝休眠に関与するゲノム情報に大きな違いが明らかになった。この研究成果は、ネムリユスリカの持つ多くの遺伝子が祖先から受け継がれたものや近縁種と共有されたものではなく、ネムリユスリカにしか存在しない特有の遺伝子であることが分かった。

 今後は、受精卵や血液サンプルといった医療分野で使用する生体試料の長期保存などに応用できると期待されている。

 なお、この内容は「Nature Communications」に掲載された。

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