「一度あったことは2度繰り返すか?」、2Q業績上方修正銘柄の3月通期業績動向が秋相場の注目ポイント=浅妻昭治

2014年9月8日 11:01

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

  「白猫であれ黒猫でもあれ、鼠を捕る猫がよい猫」を口癖としたのは、かつての中国のカリスマ指導者、鄧小平である。この鄧小平流にいえば、9月2日の日経平均株価の192円高は、その後、前週末に掛けて上値の伸びを欠き、日々の東証1部の売買代金も、再び、活況の目安の2兆円を下回ったものの、まことによい猫(相場)というほかない。

  192円高が、第2次安倍内閣の内閣改造に対する「ご祝儀相場」であったにしろ、厚生労働大臣に安倍晋三首相の「お友達」の塩崎恭久元官房長官の起用が内定したと伝わってのGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用改革加速の政策期待にしろ、為替相場が、1ドル=104円台後半まで円安に進んだ円安メリット相場だったにしろ、大変、結構で結果オーライである。これで、秋相場への待望論も高まろうというものである。

  その秋相場は、もちろんメーンテーマの一つは業績である。とくに注目は、3月期決算会社の業績動向で、第2四半期(2Q)の決算期末の決算集計を迎えて、この2Q累計業績がどう着地し、3月通期業績見通しがどう修正されるか、9月末から10月にかけ上方修正・下方修正や業績観測報道が相次ぎ、株価インパクトを増すはずである。これは、消費関連の経済指標が、消費税増税や局地的な豪雨が相次いだ天候不順の影響が重なって景気腰折れを示唆するシグナルが点滅するなか、来年10月の消費税の10%への再増税が、予定通りに決定されるかを左右する重要イベントにもなる。

  待望久しい業績相場が、期待通りに離陸するか、それとも空中分解に終わってしまうか、今後の業績修正・観測が大きく影響することになる。そうした業績環境下で、とくに注目したいのが、今年7~8月の今期第1四半期(1Q)決算発表時に2Q累計業績のみを上方修正した銘柄である。業績の上方修正した銘柄では、1Q決算の好調推移から2Q累計業績と同時に3月通期業績を上方修正した銘柄が多数にのぼるなか、敢えて上方修正を半期の2Q累計業績にとどめた銘柄である。この理由はさまざまで、なお消費税増税の影響や欧州経済の不透明化、為替相場の動向を見極めたいなどと、「半分強気、半分弱気」の慎重な業績予想につながった。

  この2Q累計業績上方修正銘柄が、2Q決算発表時に「1度あることは2度ある」として3月通期業績の上方修正に踏み切るか見極めたいのである。個人的な集計で恐縮だが、今年7~8月の第1四半期決算発表時に今3月期業績を上方修正した銘柄のうちの55%が2Q累計業績、3月通期業績とも上方修正したが、2Q累計業績のみの上方修正銘柄も、45%に達した。この2Q累計業績上方修正銘柄が、3月通期業績の上方修正に踏み切ることになれば、株価は、第2弾ロケットの発射につながると想定されるからだ。

  2Q累計業績上方修正銘柄のその後の株価展開は、二通りに分かれた。典型はミクシィ <2121> (東マ)と東京エレクトロン <8035> である。この2社は、いずれも特殊要因で2Q累計業績の上方修正にとどめた。ミクシィは、スマートフォンゲーム「モンスターストライク」の全世界の利用者が、1000万人を突破して2Q業績が、期初予想の3月通期業績をオバーするまで上方修正し、このスマホゲームの下半期の成長率の予想が困難として3月通期業績を未定に変更した。株価は、この業績修正でストップ高を交えて5割高して、半値押し水準まで調整している。

  東エレクは、もともと期初に米国アプライド マテリアルズとの経営統合の効力発生日が未定として2Q累計予想業績のみを開示しており、半導体製造装置が、期初予想を上回ったとして2Q累計業績を上方修正し、3月通期業績は、引き続き経営統合日が未定として3月通期予想業績を非開示とした。このため株価は、小幅反応にとどまったうえに300円安と売られたが、統合相手のアプライド マテリアルズの好決算が伝えられた途端に窓を開けて急伸し年初来高値を更新した。

  2Q累計業績上方修正のその後の株価推移は、このミクシィ型、東エレク型の2パターンに分かれたが、ミクシィ型は、第2弾ロケット発射、東エレク高は、3月通期業績の上方修正催促相場展開でなお上値期待を高めるとみて間違いない。

  となると問題は、どの銘柄に投資ターゲットを絞るかに収斂することになる。そこでここは、目出度く厚生労働大臣に就任した塩崎恭久氏に敬意を表して、GPIF運用改革見直しの国内株式組み入れの重要株価指数とされる「JPX日経インデックス400」構成銘柄のうちの2Q累計業績上方修正銘柄をマークしてみたい。9銘柄が、リストアップされる。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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