【鈴木雅光の投信Now】銀行の投資信託販売に喝!

2014年9月8日 10:51

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  金融庁が7月4日に公表した「金融モニタリングレポート」をご存じだろうか。全文は金融庁のサイトからダウンロードできるので、興味のある方は一読されると良いだろう。

  特に注目したいのが、同レポートの84ページ以降。「投資信託販売業務態勢」という項目で、一読すると、どうやら金融庁は、今の銀行などが行っている投資信託の販売姿勢について、不満足であることがヒシヒシと伝わってくる。

  一文を紹介しておこう。

  「預金残高が増える一方、銀行が預かる投資信託残高は伸び悩んでいる。ただし、この間も、銀行は投資信託の販売により、収益を伸ばしている。投資信託残高が伸び悩む一方で、銀行の投資信託販売に係る収益が増加する状況は、顧客による投資信託の保有期間が短期化し、乗換え売買が行われている中で生じていると推測される」。

  金融庁は、銀行による投資信託販売が、いかに短期化しているかという点を指摘すると共に、状況改善を求めている。実際、2010年度末における投資信託全体の平均保有期間は2.9年だったのが、2013年度末には2.0年まで低下した。NISAがスタートし、投資信託の長期保有が促進されようとしているにも関わらず、足元の実体に目を向けると、投資信託の保有期間はわずか2年が平均だという。これでは金融庁がイラつくのも無理はないだろう。

  このレポートの出色は、2003年3月末から10年間、2年ごとに、その時々で最も人気の高かった投資信託に乗り換える売買を行った場合の収益状況をシミュレーションしたものだ。それによると、10年間で収益がプラスになるどころか、3%のマイナスになったという。

  もちろん、この数値を真に受けてはいけない。何しろ2008年にはあのリーマンショックが起っており、ここで収益が大きく下落しているからだ。つまり、3%マイナスという数字は、乗換え要因というよりも、マーケット要因による部分が大きい。が、その数字を持ち出して、あたかも「乗換え売買は良くない」と主張しているあたりに、金融庁のイラつきぶりが見て取れるのである。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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