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撤回した計画が再議論 議員宿舎建替えは必要か
参議院清水谷宿舎は69年完成、今年で建設から45年が経つ参議院議員のための宿舎である。老朽化を理由にいったんは隣接する国有地への移転建て替え計画がまとまっていたが、予定地が江戸時代から残る貴重な緑地であり都の風致地区に指定されていたことから住民の反対にあった。[写真拡大]
地方選出の国会議員の東京での生活を保障し議員としての職務を円滑にするための「議員宿舎」-その設備や家賃など度々注目を浴びてきたが、ここにきてまた宿舎の一つに建て替え問題が浮上してきた。今回建て替えが議論され始めたのがホテルニューオータニの向いに建つ「参議院清水谷宿舎」だ。この清水谷宿舎の建て替えが議論を呼んでいる理由、それは08年にすでに一度建て替え計画が撤回されているにもかかわらずまた建て替えの計画が進められているからだ。
参議院清水谷宿舎は69年完成、今年で建設から45年が経つ参議院議員のための宿舎である。老朽化を理由にいったんは隣接する国有地への移転建て替え計画がまとまっていたが、予定地が江戸時代から残る貴重な緑地であり都の風致地区に指定されていたことから住民の反対にあった。さらに当時の石原慎太郎都知事も「都心に残る貴重な緑を保護すべき」と建て替えに難色を示したことで、08年12月に計画の断念が表明された。
一度撤回されたこの計画が、今再検討されはじめている。参院議院運営委員会に所属する与野党の議員がプロジェクトチームを設置し、先月だけで3回の議論が行われている。08年の計画には沿わず、現在地での建て替えを含めて白紙からの再検討だというが、計画案がまとまっていない等の理由で検討再開は公表されていない。
議員宿舎が批判を集めてきたのは、主にその「豪華さ」と「家賃の安さ」が理由だ。07年に衆議院赤坂宿舎建て替えの際には、月額8万4291円という家賃の安さに注目が集まった。この赤坂宿舎に注目が集まったことにより建て替えに対し厳しい目が向けられたことも清水谷宿舎の建て替え断念の理由の一つだ。
この議員宿舎についての「豪華さ」や「家賃」といった問題は、実は国会議員も共有している。全国市民オンブズマン連絡会議の調査によると、赤坂宿舎の豪華さを問うアンケートに答えた議員で「国会議員にふさわしい」と答えた議員はいなかった。地方選出の議員のために住まいが必要なのは事実である。しかし、それが豪華すぎたり市民感覚にそぐわないものであれば批判があるのは当然だ。求められる議論は「必要か必要でないか」ではなく「どのような宿舎が適切か」ではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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