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【経済教室】7月のフィラデルフィア連銀景況指数〜モメンタムは最高潮に
【7月20日、さくらフィナンシャルニュース=東京】
先週、米国ではいくつかの景気指標が発表されましたが、その中で特に注目していたフィラデルフィア連銀の製造業景況指数が17日に発表されました。
7月の全体の景況指数(Current Activity)は6月の17.8から23.9に上昇しました。また、先行性の高い期待指数(Six-Month Forecast)は6月の52.0から58.1に上昇しました。
期待指数は平均4ヵ月ほど先行している海面水温との関係から、そろそろ低下に転じるのではないかとみていましたが、予想に反して一段と上昇し、米製造業の景況感の強さを示しています。このような景気の先行指標の強さが続く限り、高値を更新し続ける米国の株式市場が大きく崩れることはないでしょう。
ただ、期待指数の水準は昨年10月につけた直近のピーク(58.3)にほぼ並び、公表資料の過去のチャートをみても、ここからさらに上昇することは考えにくく、モメンタムは最高潮に達しているとみられます。
昨年10月の水準に並んだ7月の期待指数は、昨年6月の水準(-0.8℃)まで低下した今年2月の海面水温と見事に相似形を成しています。今後海面水温の上昇に遅れて、期待指数が低下していくことが容易に予想されます(「米製造業景況感とエルニーニョ監視海域海面水温」を参照)。
17日の日経新聞のマーケット面に、日本の新興市場に調整色が広がっていることを伝える記事が掲載されていました。FRBのイエレン議長が「米ネット関連株は割高である」と発言したことがきっかけで米国のモメンタム株が下落した影響と記事は解説していますが、景気のモメンタムの変化をすでに国内外の株式市場が織り込み始めている可能性があり、今後の新興株の動きが注目されます。【了】
野田聖二(のだせいじ)/埼玉県狭山市在住の在野エコノミスト
1982年に東北大学卒業後、埼玉銀行(現埼玉りそな銀行)入行。94年にあさひ投資顧問に出向し、チーフエコノミストとしてマクロ経済調査・予測を担当。04年から日興コーディアル証券FAを経て独立し、講演や執筆活動を行っている。専門は景気循環論。景気循環学会会員。著書に『複雑系で解く景気循環』(東洋経済新報社)、『景気ウォッチャー投資法入門』(日本実業出版社)がある。著者のブログ『私の相場観』より、本人の許可を得て転載。
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※この記事はSakura Financial Newsより提供を受けて配信しています。
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