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鴻池運輸 Research Memo(6):15年3月期は「収益性重視」の方針で大幅増益の見通し
*18:19JST 鴻池運輸 Research Memo(6):15年3月期は「収益性重視」の方針で大幅増益の見通し
■業績動向
(2)2015年3月期通期見通し
鴻池運輸<9025>では2015年3月期の業績を表のように、売上高243,725百万円(前期比5.3%増)、営業利益9,600百万円(同20.9%増)、経常利益9,458百万円(同18.1%増)、当期純利益5,459百万円(同24.9%増)と予想している。
同社を取り巻く環境としては、鉄鋼関連業務では取引先企業の合理化がまだ継続される見込みだが、国内需要の回復、価格改訂などにより増収を見込んでいる。また食品関連では、顧客へのマーケティング活動などによる需要創造に伴い、清涼飲料や食品の取扱量は増加する見込み。またアパレル品やメディカル関連、空港関連での取扱量も増加すると見ている。
また以下に述べるように、同社では全社的に「収益性重視」の方針を打ち出しており、これが少しずつだが末端の事業所などにも浸透しつつある。この効果によって利益率も改善し、2015年3月期は大幅増益を予想している。
○セグメント別業績予想
セグメント別売上高は表のように、複合ソリューション事業159,904百万円(前期比7.8%増)、国内物流事業51,362百万円(同0.2%減)、国際物流事業32,458百万円(同2.3%増)を予想している。またセグメント利益は、複合ソリューション事業11,302百万円(同4.7%増)、国内物流事業1,705百万円(同64.2%増)、国際物流事業1,518百万円(同16.5%増)、その他34百万円(同22.4%増)を見込んでいる。国内物流事業は取扱量の減少や一部不採算のCVS向け事業からの撤退などにより減収だが、一方で2014年3月期に足を引っ張った新物流センターの立ち上げによる経費増が改善されるほか、不採算事業からの撤退により利益率は大きく改善される見込みで、セグメント利益は大幅増が予想されている。
○分野別業績予想
また分野別売上高は、鉄鋼関連53,954百万円(前期比5.4%増)、食品関連62,370百万円(同1.5%増)、生活関連77,362百万円(同12.4%増)、定温関連17,579百万円(同4.3%減)、海外関連32,458百万円(同2.3%増)を予想している。
生活関連の内訳では、生活業務16,633百万円(同4.0%増)、空港業務が10,313百万円(同6.2%増)、メディカル業務16,631百万円(同66.3%増)、流通・アパレル業務が33,783百万円(同2.0%増)を見込んでいる。
(鉄鋼関連)
主要取引先の合併に伴う合理化の影響はまだ残るものの、全般的な粗鋼生産量の回復や新規事業の獲得(特に東北地区の復興需要の獲得)に加えて一部で価格改訂も期待できることから増収を予想している。
(食品関連)
主要食品メーカーの新規拠点(飲料製品)での輸送量が増加する見込みであることから、増収を予想している。
(生活関連)
メディカル業務では、M&Aによる新規関係会社(2014年5月に九州産交運輸の全株式取得)の寄与(約6,000百万円)などから大幅増収が見込まれる。流通・アパレル業務では一部で取扱量減少が見込まれるが、全体的には増収を維持すると予想している。一方、2014年3月期は中国便の減少によって影響を受けた空港業務も取扱便数が回復しつつあり増収の見込み。
(定温関連)
業務全般を見直し中(特に採算性)であり、その一環として不採算のCVS向け事業(関東地区)から撤退したことなどにより減収予想だが、利益率は大きく改善する見込み。
(海外関連)
タイやベトナムでの定温物流業務の伸長、中国での新倉庫取扱量の増加、新規連結子会社の増加などにより増収を予想している。
○2015年3月期の重点方針:収益性の改善
上記のような予想利益を達成するにあたり、同社は2015年3月期の重点方針として「収益性の改善」に取り組んでいる。これは下記のような方針に沿って、トップライン(売上高)を伸ばしつつ、一方で合理化ではないコスト削減を進めて、全体の利益率を改善するというものだ。
(既存分野での売上伸長)
同社の売上高は景気変動、新規顧客の獲得、顧客の事業方針などによって大きく左右されるが、現在同社が進めているのは、このような要因による売上増ではなく、既存のサービスや事業の中からさらに追加的な売上を取っていこうというものだ。言い換えれば、既存事業の「深掘り」だ。
例えば、顧客企業とのコミュニケーションをさらに密にすることで、その顧客が求めているもの、あるいは必要としているものの中に、同社が手助けをできる作業などを見つけることができるかもしれない。もしそれが実現可能であれば、同社としては新しい役務を提供することで売上高を伸ばすことが可能になる。さらに、そのようなサービスを横展開して他の顧客に提案することでも売上伸長が可能になってくるだろう。
(収益性の改善)
もう1つ同社が掲げている重要な方針が「収益性=利益率」の改善である。これはすべての企業にとって重要なテーマだが、同社の場合、どちらかと言えば非上場の期間が長かったことから、「収益性=利益率」に対する意識はやや希薄であったようだ。
しかし2013年に株式を上場して以降は、全社的な方針として経営陣や管理職は言うにおよばず、一般社員に対しても収益性に対する意識高揚を進めている。この1つの例が、前述の定温関連におけるCVS向け不採算事業からの撤退である。以前であれば、顧客との関係や売上高維持のために容易に踏み切れなかったであろうが、今回は「収益性重視」との方針から取引中止を決断した。
このようなコスト意識は、少しずつだが末端の事業所や倉庫、配送センターなどにも浸透しつつある。同社の場合、トップダウンで「○○費用をXX億円削減」などの大きな目標を掲げるのではなく、収益性改善は各現場に任せている場合が多い。各現場がそれぞれに創意工夫をすることで、効率の改善や無駄な経費の削減が少しずつ進んでいるようだ。各現場での削減金額は少ないとしても、全社で積み上げれば大きな金額になる。さらに最も重要なのは、「収益性に対する社員の意識改革が進むことだ」と同社は述べている。
当然だが、これらの重要方針は今期だけのものではなく、来期以降も続いていくものだ。下記に述べる大きな中期経営目標を達成するためにも、その基盤(発射台)となる2015年3月期の予想利益を達成することは重要であり、今後の動向には大いに注目したい。
○設備投資・減価償却予想
同社では、2015年3月期の設備投資額は7,657百万円(前期比9.5%減)、減価償却費は6,854百万円(同1.3%増)を計画・予想している。
主要な案件は子会社の関西陸運での本社・営業新倉庫建設900百万円、中国子会社での新倉庫建設1,055百万円などである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)《FA》
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