産業ロボット市場の課題を克服する「究極の」高効率モジュラー

2014年7月12日 20:28

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記事提供元:エコノミックニュース

 技術は日進月歩で進化しているが、中でもここ数年で目を見張るような発展を遂げているのがロボット技術ではないだろうか。去る6月19日、安倍総理も埼玉県加須市の工場を訪問し、双腕産業用ロボットを導入した生産ラインを視察、さらには東京都墨田区の介護施設を訪れ、介護ロボットを体験している。総理は視察後、ロボットを成長戦略の大きな柱にしていく考えを示し、ロボットの可能性を引き出すためにロボット革命実現会議を立ち上げると述べている。また、2020年にはロボット市場を現在の3倍となる2.4兆円規模にまで成長させていきたいという目標も語った。

 ロボットと言えば、アニメやマンガの影響などもあって、一般的には人型のイメージが強い。しかしながら、日本の経済活動を支えているのは人型ロボットではない。工場の生産ラインなどで働く、いかつい産業用ロボットだ。経済産業省が昨年発表した「2012年 ロボット産業の市場動向調査結果」によると、産業用ロボットの世界市場は、2011年度は8497百万ドル(6628億円)。その内、日本企業のシェアは50.2%と圧倒的だ。さらに電子部品実装機を含む広義の世界市場は約13369百万ドル(10428億円)で、日本企業のシェアは57.3%となっている。また、金額ベースでは直近5年間で約60%の成長を示しており、新興国の発展に伴って、まだまだ拡大傾向にあるとみられている。近年は中国などの台頭が目覚しいものの、世界の産業用ロボット市場では依然として日本製ロボットに対する信頼は厚い。

 しかし近年、産業用ロボットにも一つの課題が持ち上がっていた。それは、家電、パソコン、携帯電話など様々な製品において、製品サイクルの短期化が加速していることだ。そのため、電子部品実装工程において、エレクトロニクス製品に組み込まれる電子回路基板に各種の電子部品を搭載する「表面実装機」と呼ばれる生産設備に対し、これまでのような単一製品を長期にわたって大量生産し続けるものではなく、同一生産ラインで多種少量生産から量産まで効率良く対応できる柔軟性が求められるようになった。そしてその結果、電子部品の小型化・高密度化・高機能化・多様化に対応し、生産性を向上させるために、搭載部品の特性や生産数量に合せて数種類のヘッドを交換するのが近年の表面実装機の傾向となっている。ところが、このヘッド交換方式には、ヘッド交換時の生産停止ロスや、交換用予備ヘッドを購入し休眠させておく投資ロス、また実装基盤の大きさによっては非効率ロスが発生してしまうなどの問題が山積していた。これでは、高品質な製品をコンスタントに市場に送り続けることは容易ではなくなってしまう。

 そんな中、ヤマハ発動機が開発した表面実装機「Z:LEX(ジーレックス)YSM20」が、これらの課題を解決するものとして業界の注目を集めている。「Z:LEX(ジーレックス)YSM20」は、幅広い生産形態に効率良く対応可能なクラス世界最速の表面実装機で、ヘッド交換不要で03015(0.3mm×0.15mm)の超小型部品から大型部品まで対応可能なところから、同社曰く「究極の」高効率モジュラー。製品名の「Z:LEX」も、究極を意味する「Z」と、無限に広がる対応力をイメージした「Limitless EXpansion」から名付けられたという自信作だ。

 「Z」といえば、日本のロボットアニメの金字塔であるマジンガーZも彷彿とさせるネーミング。ヤマハはこれまでも1種類のヘッドでチップから大型部品まで対応できる「1ヘッドソリューション」を開発コンセプトにしたYSシリーズの開発・販売で信頼を重ねてきた企業。そのヤマハが究極と関する表面実装機だけに期待も高まる。

 安倍首相のいうロボット成長戦略が本格的に動き出せば、同社のようなソリューションは日本経済にとっても大きな力になるだろう。首相はまた、東京オリンピックが開催される2020年には、世界中のロボットを集めたロボットオリンピックを開催し、ロボットの技能を競い合いたいとも述べている。その時には、日本のロボットが金メダルラッシュに沸くことを期待したいものだ。(編集担当:藤原伊織)

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