【小倉正男の経済羅針盤】セクハラ野次」事件の安易な顛末

2014年6月30日 16:35

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■「セクハラ野次」事件のすっきりしない顛末

 どうでもよいといえばそうなのだが、少しすっきりしない。例の東京都議会の塩村文夏・都議(みんなの党)の演説時に発せられた「セクハラ野次」事件である。

 野次った鈴木章浩・都議(自民党)は、野次られた塩村・都議に直接頭をさげて謝罪した。「早く結婚したほうがいい」――。鈴木・都議が吐いた野次はそうした内容だった。

 メディアはこぞって、「セクハラ野次」事件を女性蔑視、男尊女卑と批判。 外国人記者クラブなど海外メディアもこの事件を取り上げた。そんなところから、TVなどは「世界が日本の女性蔑視、男尊女卑を批判」と相次いで発言している。

 自戒もあるが、メディアというのも少し薄っぺらなものだ。 『スタップ細胞』ではわかりもしないのにワーワーと取り上げ、雲行きがおかしくなると手のひらを返して叩きまくった。

 メディアの体質がそんなに立派というか進んでいるとは思えない。だが、今回は世界の批判だということで、「アメリカだったら議員辞職もの」、「塩村・都議はセクハラ野次の被害者」、などと報道している。

■とりあえず謝罪、幕引狙いか

 こんなことで日本の女性たちは、納得しているのだろうか。

 鈴木・都議は、どういう論理で野次を飛ばしたのか。それに論点のどこに誤りがあったとして謝罪したのか。 そこがはっきりしないと謝罪したといっても格好だけということになる。

 鈴木・都議は、「少子化、晩婚化のなかで、早く結婚していただきたいという軽い思いで」野次ったと説明している。で、どこを謝ったのか――。

 メディアの前で謝罪した、というのだが、どこをというか、何をというか、何だかわからない。野次ったこと事態を謝罪したのか、野次の言葉のどこに論理としてセクハラがあったから謝罪したのか。

 メディアの批判に加え、自民党の石破茂・幹事長が「セクハラ野次の発言者は早く名乗り出ろ」、と言明したから、とりあえず謝罪したということなのか。

 どうやら世の中の「空気」で動いているのか、自民党も(メディアと同様に)曖昧である。ともあれ、早く幕を引きたいということで、取り急いで鈴木・都議がメディアの前で謝罪した・・・。

■「成長戦略の1丁目1番地」といわれても・・・

 アベノミクスでは、「女性の活躍は、成長戦略の1丁目1番地」(安倍晋三首相)とされている。

 確かに、これはいままでにないフレーズだ。「待機児童ゼロ」「残業ゼロ」など、女性が働きやすい環境整備が謳われている。

 だが、何故、「成長戦略の1丁目1番地」なのか、ほとんど説明されていない。いわば、ここでも「空気」でいわれている面が否定できない。理論というか、論理というか、それがない。少なくとも、言葉のつながりが発信されてこない。

 「空気」はタダだから――では、持ち上げられてもうれしくはないだろう。理論や論理の裏付けがないでは、本物の政策にはならないのではないか。

 今回のセクハラ野次事件の顛末も、世の中の「空気」で動いている。これでは騒いでは一件落着、を繰り返すのみ――。なんだか語弊はあるが、安易だなと思うわけである。(小倉正男)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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