【鈴木雅光の投信Now】上場インフラ市場の創設に向けて本格始動

2014年6月24日 12:27

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  かねてより検討されていた「上場インフラ市場」の創設に向けて動きが出てきた。

  上場インフラ市場とは、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー施設や、空港や港湾など公共施設の運営権を組み入れて運用するファンドを上場する市場のことで、今回、「投資信託及び投資法人に関する法律施行令の一部を改正する政令」において取りまとめられ、7月7日までパブリックコメントを受け付ける。東証にとって上場インフラ市場は、J-REIT市場、ETF市場に次ぐ、3番目の上場ファンド市場の創設になる。

  上場インフラ市場が創設されるのは、日本の苦しい台所事情に端を発している。これから東京オリンピックの開催に向けて、日本では多額の公共投資が必要になってくるが、問題は資金の出所。すでに財政赤字は巨額で、公共事業に資金を回そうにも、台所事情がそれを許さない。

  ただ、一方で個人金融資産は1645兆円もあり、このうち874兆円は現預金に眠っている。この資金を有効活用するため、上場インフラ市場の創設が検討された。

  資産運用の観点から注目されるのは、やはり再生可能エネルギー施設に投資するファンドだろう。国は再生可能エネルギーへのシフトを促進するため、FIT(固定価格買取制度)を導入し、再生可能エネルギーで発電された電気を、20年間にわたり、固定価格で買い取るという取り決めを行っている。つまり、再生可能エネルギー施設を組み入れて運用する上場インフラファンドが設定されれば、非常に安定したキャッシュフローが得られることになる。

  国が固定価格買取を約束しているということは、国の信用力を背景にしたキャッシュフローが獲得できることを意味する。見方を変えれば、これは償還期限20年の国債を保有しているようなものだ。分配金利回りベースでどの程度になるのかは、実際に上場され、運用がスタートしてみないと何とも言えないが、リタイヤメント後の資産運用の選択肢として、検討する価値はありそうだ。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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