エレマテックResearch Memo(5):エレクトロニクス業界にありながら、経済変動を乗り切る安定性

2014年6月16日 17:34

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記事提供元:フィスコ


*17:35JST エレマテックResearch Memo(5):エレクトロニクス業界にありながら、経済変動を乗り切る安定性
■エレマテックの強み

エレマテック<2715>の過去の業績を振り返ると、同社の業績安定性が極めて高いことがわかる。2000年3月期から2014年3月期までの15期間に、ITバブルの崩壊とリーマン・ショックという大きな経済変動に見舞われたにも関わらず、同社は、減収減益にはなったものの、赤字を計上することなく、それらの経済変動を乗り切った。これは、エレクトロニクス業界にとどまらず、驚異的と言える。
出所:有価証券報告書

エレマテックは自社の強みについていくつかのポイントを挙げている。図はその概念図だ。この図からエレマテックの強みは何で、何がその強みの要因なのかは、一目では読み取ることは難しい。

弊社では同社の強みについて、「経済の大変動にも左右されることなく着実に利益を生み出せること」であると解釈している。そして、それを可能にしている要因は、同社の扱う「商材」と「オペレーション」の部分にあると見ている。

同社の取扱商品は幅が広いとはいえ、中核の商材は電子材料だ。これらの分野は技術的視点や品質的視点で日本企業が海外勢に対して優位性を持っている数少ない分野の1つだ。電子材料はまた、数量の変動が、製品に比べて比較的小さい傾向がある。例えば、ある最終消費財(スマホや携帯電話など)の店頭の売れ行きが完全に止まったとしても、それが主要部材である中小型液晶パネルや各種半導体、電子部品の減産に至るまでには時間を要する。他方、家電など民生用エレクトロニクス製品は、新製品サイクルやモデルチェンジ・サイクルが3ヶ月から6ヶ月と非常に短いため、ある製品向けの需要が落ち込んでも別の製品向けの需要が産み出されてくることになる。また、価格面でも、電子材料は常にユーザーからの値引き圧力にさらされているが、その変動幅は店頭における最終消費財の値引き幅に比べれば小さく、また値動きも安定的である。このように、材料系の商品は、非常に地味で目立たないが、需要が途切れることはめったになく価格的にも安定的であるため、同社の業績安定性に大きく貢献しているものと推測される。

「オペレーション」における強みとしてエレマテックがピックアップしているなかで、注目している点は「調達代行サービス」だ。これは簡単に言えば、顧客企業が多方面に部材発注を行うわずらわしさをエレマテックが代行するというものである。エレマテックの有する海外の拠点網や品質管理技術を生かして、顧客に付加価値を提供できるため、顧客側から見てもこのサービスを利用するインセンティブは大きい。この種のサービス自体は名称こそ違っても他の商社も手掛けている。ポイントは、調達代行サービスが、顧客の手間暇を引き受ける、本質的にロー・マージンのビジネスであるということである。「損して得とれ」という商格言があるが、調達代行サービスはここで言う「損」に当たる。それを同社は敢えて取りに行っているのは、同社が「得をとる」ことができているからだ。

同社は調達代行サービスを「重点分野」と位置付けている。調達代行サービスの売上高は2013年3月期の15,100百万円から2014年3月期には17,700百万円と17.2%増加し、全売上高に占める割合は12.3%に達した。

調達代行マージンをどのようにして「得」のビジネスにつなげていくかは、ケース・バイ・ケースといえる。1つの例としては、調達代行サービスを皮切りにして相互の信頼関係を深めて次の商談や提案につなげていく、という流れが想定できる。この流れを実現するのは簡単ではなく、ここに、同社の有する企画・提案力や品質管理術、海外ネットワークなどがすべて活かされていると言える。また、調達代行サービスの獲得とその活用は、同社の存在意義の強化にもつながると言え、この意味でも調達代行サービスの価値は大きい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)《FA》

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