カイオム Research Memo(7):増収ながらも今後の成長を見据えた先行投資費用で減益

2014年6月2日 17:25

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記事提供元:フィスコ


*17:27JST カイオム Research Memo(7):増収ながらも今後の成長を見据えた先行投資費用で減益
■業績動向

(1)2014年3月期決算概要

2014年5月15日付で発表されたカイオム・バイオサイエンス<4583>の2014年3月期の連結業績は、売上高が434百万円、営業損失が708百万円となった。単独業績で見ると、売上高は前期比27.3%増の412百万円、営業損失は690百万円となり、増収ながらも損失幅は拡大する格好となった。完全ヒトADLib(R)システムの開発や統合移転に伴う研究設備投資を中心に研究開発費が増加したほか、人員の増員(2013年3月31名→2014年3月末67名増)や本社移転など将来の成長を見据えた先行投資費用が増加したことが主因だ。

売上高の事業別動向を見ると、創薬アライアンス事業は、主に中外製薬<4519>との共同研究契約の更新による増収、並びにGlaxo Groupからのマイルストーン収益の獲得で13年3月期の318百万円から417百万円に増加した。ただ、Glaxo Groupとの契約は2013年9月に終了している。また、同事業にはリブテックがヤクルト本社<2267>と開発を進めている、がん治療用抗体「LIV-2008」の非臨床試験に関する売上も含まれている。

基盤技術ライセンス事業の売上高は13年3月期の5百万円から18百万円へ増加した。ライセンス供与先である富士レビオ(みらかホールディングス<4544>子会社)が、ADLib(R)システムを使って作製した「ビタミンD測定用の抗体を含む体外診断用キット」の販売を、2013年12月に欧州で開始したことに伴うものとみられ、ADLib(R)システムで作製された抗体が商品化された初のケースとなる。

リード抗体ライセンスアウト事業に関しては、2014年3月期も売上実績としてはなかった。横浜市立大学と共同研究中の抗セマフォリン3A抗体に関して、当初、敗血症モデルマウスでの実験では著しい効果が認められたため敗血症での導出を目指して活動してきたが、ライセンス契約には至らなかった。現在の導出戦略としては、新たにがん領域やDIC※を含めたライセンス契約を目指している。がん領域では膵がんや肺がん、脳腫瘍など特定のがん腫に対して、がん細胞の浸潤が抑制される効果が新たに確認されており、がん転移抑制の可能性が示唆された。今年2月には国際特許出願も行っており、今後の開発動向が注目される。

※DIC(播種性血管内凝固症候群)・・・敗血症や急性白血病などの悪化により、全身持続性の血液凝固異常が起こり、血管内で微小血栓が多発して臓器不全や出血症状を伴う症候群。国内における患者数は約7.3万人。発症者の死亡率は42.4~56%。

その他、抗体開発では提携先と複数の共同研究プロジェクトを進めている。このうち米Biotecnol社は、抗体作製においてTribody技術(多重特異性抗体作製技術)と呼ぶ先進的な技術を持っており、同社のADLib(R)システムと融合することによって、革新的なリード抗体の開発を進めている。また、がん治療薬の開発を行う米Clayton Medical Research Foundation社とも共同研究契約を締結し、抗体医薬の創出に取り組んでいる。

なお、子会社のリブテックでは、がん治療用抗体「LIV-1205」の動物モデルでの薬効試験、毒性試験などが終了しており、現在導出活動を行っている段階にある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《FA》

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