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災害の教訓を活かし、女性と子供に優しい仮設トイレが登場
2011年に発生した東日本大震災は、甚大な被害と損害とともに、我々の生活に多くの教訓をもたらした。震災以降、自治体レベルでの防災活動も活発になり、一般市民の防災意識も高まっている。また、防災だけでなく、万が一災害が起こったときの対処法についても大きな改善が図られている。
阪神淡路大震災や東日本大震災などをはじめとする大災害発生時、食料とともに問題となったのが住居の問題だ。避難場所でのプライベートの確保については、被災者の大きなストレスとなる。災害時なので仕方がないとはいえ、見ず知らずの他人が狭いスペースにひしめき合って暮らさなければならない状況は、ただでさえ不安に苛まれている被災者の精神に大きなダメージを与えてしまう。とくに問題の大きいのが仮設トイレだ。仮設トイレに対して「汚い」「臭い」「怖い」「暗い」「使いにくい」といったイメージがあり、実際に仮設トイレの利用を我慢した為に健康被害にあったという人も少なくないという。また、この問題は被災者だけでない。国土交通省は女性の建設業就労者を2倍にする計画を打ち出しており、トイレや更衣室などの環境整備の必要性も解決すべき課題として認識されている。
そんな中、仙台市と積水ハウスが女性や子供が安心して利用できる仮設トイレ「おりひめトイレ」を共同開発した。この「おりひめトイレ」は、仮設トイレのイメージを一新するもので、換気ファンや水洗化でニオイ対策がなされているのはもちろんのこと、かわいらしい外装フォルムや室内の明るい色調、さらには内部に間接照明などを設置することで「暗い」イメージを払拭する工夫がなされている。また、ドアを鉄扉にし、鍵の強度を高めた上、トイレ内に防犯ベルを設置することで安全性を高めているので、女性や子どもも安心して利用できる。さらには、コートフックやカウンター、ベビーチェアも設けられており、流水擬音装置も設置されている。
また、防災という観点に限らず、観光面への効果も期待できるのではないか。全国各地で開催される屋外イベントにこのようなトイレが設置されることで、親子連れの外出機会が増える可能性もある。その証拠に5月11日(日)に仙台国際ハーフマラソン会場に試験設置した際の利用者アンケートの結果をみると、女性だけでなく親子づれの利用も数多くあり、「こどもと一緒に入れて安全、安心」「お金を払ってでも、並んででも利用したい」などの声が寄せられたようだ。
女性の社会進出が活発になっているとはいえ、まだまだ日本の社会は男性社会であることは否めない。とくに建築現場など、屋外の職場ではその傾向が強い。屋外で働く女性の職場環境改善にも「おりひめトイレ」が一役買いそうだ。(編集:石井絢子)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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