NEC、セルロース系バイオプラスチックの製造エネルギーを1/10に削減

2014年5月8日 11:19

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非食用植物資源のセルロースを主成分とした高機能バイオプラスチックを従来比1/10の低エネルギーで合成できるという日本電気(NEC)の新製造技術の概要を示す図

非食用植物資源のセルロースを主成分とした高機能バイオプラスチックを従来比1/10の低エネルギーで合成できるという日本電気(NEC)の新製造技術の概要を示す図[写真拡大]

 日本電気(NEC)は8日、同社の位地正年主席研究員の研究グループが、非食用植物資源のセルロースを主成分とした高機能バイオプラスチックを、従来の1/10という低エネルギー(低CO2排出量)で合成できる新しい製造技術を開発したと発表した。

 同社によると、今回開発した製造技術では、従来必須であった生成樹脂を分離するための溶媒が不要となるため、合成に必要な溶媒量が従来比約90%削減できる。これによって、従来の1/10の製造エネルギー(CO2排出量)で、高機能なセルロース系バイオプラスチックの製造が可能になることから、将来量産を行う際には、製造コストの大幅な削減が期待されるという。

 同社は、この技術を利用して「セルロース系・高機能バイオプラスチック」の2016年度中の量産化を目指し、電子機器をはじめ、他の様々な耐久製品に展開していくとしている。

 現在、プラスチックは全世界で年間約2.3億トン(国内では約1300万トン)生産されおり、そのほとんどは石油由来の原料を高温・高圧条件下で反応させて作っているため、プラスチック生産過程で発生するCO2量や製造に要する消費エネルギーの多さが課題となっている。これに対して、再生可能で、CO2を固定化できる植物資源を原料に使用したバイオプラスチックの開発と利用が進められている。

 また、従来は穀物や芋類、サトウキビなどからのデンプンを原料とするバイオプラスチックが主体だったが、将来の食糧問題への懸念から、現在では植物の茎や木材の主成分であるセルロースなどの非食用の植物資源を原料とするバイオプラスチックが注目されている。

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