4月の「東日本大震災」関連倒産は13件 累計で1432件に

2014年5月7日 12:25

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記事提供元:エコノミックニュース

 震災から3年がたった。その傷跡は深くなかなか事態は収束しない。しかし、経震災関連倒産は、収束傾向にあるという。ただし、2014年4月までの累計は1432件に達するなど、まだまだ予断を許さない状況だ。

 東京商工リサーチは1日、2014年4月の「東日本大震災」関連倒産を発表した。そよれによると、「東日本大震災」関連倒産は15件(速報値:4月30日現在)で、24カ月連続で前年同月を下回った。しかし、累計では1432件(4月30日現在)に達した。また倒産のほか、事業停止や法的手続準備中の「実質破綻」が17件あり、これを含めた震災関連の経営破綻(倒産+実質破綻)は累計1449件になった。

 4月の地区別では、関東8件、東北4件、中部2件、九州1件だった。このうち、東北は青森、宮城、秋田、山形が各1件だった。「震災関連」倒産の累計1432件を都道府県別にみると、最多は東京の425件(4月4件)。次いで、宮城104件、北海道81件、福岡が62件、神奈川が61件、千葉55件、岩手と群馬が各50件、茨城47件、大阪43件、静岡41件、福島38件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は259件(構成比18.0%)だった。

 「震災関連」倒産の累計1432件を産業別にみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の363件(4月4件)。次いで、製造業が339件(同4件)、卸売業が259件(同3件)、建設業が186件(同ゼロ件)、小売業が132件(同1件)と続く。

 被害型で分類すると、「間接型」1,321件(構成比92.2%)に対し、「直接型」は111件(同7.7%)だった。4月は「直接型」が1件だった。

 青森県のタクシー業の鍵本ハイヤー株式会社は、昭和27年創業の老舗だったが、東日本大震災により地元の大間原発、東通原発の建設中断で、平成24年2月期は前年比8割減の大幅減収となり赤字決算に陥った。さらに燃料高も加わって資金繰り悪化から破産を申請した。

 また、栃木県の米菓製造販売の株式会社駒場は、「あられ」などで自社製品を有し、中国向けの輸出も行っていた。しかし、東日本大震災後は原発事故の風評被害で、中国向けの出荷ができなくなり売上が大幅に低下した。建て直しを模索していたが、支えきれず破産申請に踏み切った。

 愛知県では、化粧品・石鹸製造販売のソフィアワールドが、自社開発の海泥を原料とした化粧石鹸が原発事故近くの海泥を使用しているとの風評被害により売上が減少し、業績低調から破産を申請した。

 震災関連倒産は、震災から3年を経て発生ペースは鈍化しているという。しかし、いまだに風評被害による倒産が発生し、傷あとの深さを浮き彫りにしたとしている。(編集担当:慶尾六郎)

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