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陸上植物の季節に依存して花を咲かせる仕組みの起源とは 京大が解明
植物にとって季節を感知して花を咲かせることは、一生を通じて最も重要なイベントの一つだ。植物は体内に持つ概日時計を利用して昼夜の長さを測ることで季節を認識することができる。そして、最適な季節に繁殖することで自らの生存・繁栄を最適化しているのだ。しかし、それは一体どのようにして始まったのだろう。
京都大学の河内孝之 生命科学研究科教授、久保田茜 教務補佐員(元同大学院生)らの研究グループは22日、苔類ゼニゴケをモデル植物として、植物が季節を感知して花を咲かせる仕組みの原形が花の咲かない祖先的植物が陸上進出したときに既に確立していたことを明らかにしたと発表した。
これまで、このような季節に応じて成長相を転換する仕組みは主に被子植物の花成をモデルとして研究が進められてきた。その結果GIとFKF1と呼ばれるタンパク質から構成される複合体が、その中心的な役割を担うことが明らかにされている。GI-FKF1複合体は、コケ植物をはじめとするより祖先的な陸上植物ではその存在が知られていなかった。そのため、GI-FKF1複合体による成長相制御機構は植物の進化上、維管束植物の出現と前後して獲得された機構であると考えられてきたという。
一方、一部のコケ植物においても季節に応じて生殖器を形成する現象は観察されていました。コケ植物の一生は、維管束植物と異なって配偶体世代(核相n)が優占的であり、配偶体世代のなかで成長相転換をする。この違いからコケ植物の生殖器形成と被子植物の花成が関連するかは不明だった。
今回、同研究グループは配偶体世代における相転換制御の仕組みを解明することで、花成の起源が解明できると考えた。陸上植物の進化上もっとも基部に位置する苔類に属するゼニゴケに着目し、ゼニゴケのゲノム情報を解析し、ゼニゴケにもGI、FKF1に相同性を示す遺伝子が存在することを見出した。
さらに、ゼニゴケのGI、FKF遺伝子を欠損させたゼニゴケの変異体では生殖器形成が起こらなくなるのに対し、これらの遺伝子が過剰に蓄積した変異体では季節に関係なく生殖器形成が促進されることを見出したという。また、そのGIタンパク質とFKFタンパク質がゼニゴケ体内で複合体を形成することを示した。
これらの結果は、GI-FKF1複合体による成長相制御機構が苔類に存在すること、つまり、植物が陸上化した時点において既にこの仕組みが獲得されていたことを示唆しているとしている。
さらに、ゼニゴケのGIタンパク質は被子植物の体内においても、花成を調節する機能的なタンパク質として働きうることがわかった。このことから、被子植物の花成を支配する仕組みは、コケ植物の生殖器形成を制御する仕組みを起源とするものであり、この仕組みが陸上植物の進化過程で保存されたものである可能性が示されたとしている。(編集担当:慶尾六郎)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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