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ビタミンAが皮膚炎を引き起こす? 東大らが過剰摂取による皮膚炎の原因を解明
ビタミンAが皮膚炎を引き起こす。過剰なビタミンAの摂取が皮膚炎を起こす事例として、高濃度のビタミンAが蓄積されたホッキョクグマの肝臓などを食べる習慣のあるイヌイットでは皮膚障害が引き起こされることが知られている。今回、東大らの研究グループは、この皮膚障害の発症メカニズムを解明した。
アレルギーや炎症を引き起こす免疫細胞の一種にマスト細胞と呼ばれる細胞が存在する。マスト細胞は、皮膚などの結合組織と肺や腸管などの粘膜組織とでは異なる性質をもつことが古くから知られていた。しかし、その特性が組織ごとに異なることの意味やそれぞれの特性がどのようなメカニズムによって調節されているかは不明であった。
東京大学 医科学研究所の倉島洋介助教、清野宏教授と独立行政法人 医薬基盤研究所の國澤純プロジェクトリーダーらの研究グループは11日、マウスにおいてマスト細胞が皮膚や肺、腸管などの組織でそれぞれ異なる特性をもつことを確認したと発表した。また、これらの特性は線維芽細胞と呼ばれる結合組織を構成している細胞によって調整されていることを明らかにした。
さらに、皮膚では、皮膚の線維芽細胞によってビタミンAの濃度が調節されており、過剰なビタミンAや線維芽細胞によるビタミンAを代謝する仕組みが機能しなくなった場合にマスト細胞が異常に活性化し、皮膚炎が誘導されることがわかったという。皮膚のマスト細胞ではマスト細胞を活性化させる受容体の発現が他の組織より少ないことも見いだした。
具体的な研究では、まず体のさまざまな組織に存在するマスト細胞の遺伝子発現を比べて、マスト細胞は組織ごとに性質が異なっていることを確認した。次に、生体内において線維芽細胞とマスト細胞が積極的に相互作用をしている様子が観察されたことから、マスト細胞の組織特性の獲得に線維芽細胞が関与している可能性が示唆された。そこで体のさまざまな組織から単離した線維芽細胞とマスト細胞を試験管内でともに培養すると、各組織の特性がマスト細胞において導かれたという。
加えて、同研究グループは、皮膚のマスト細胞の特性として、細胞内の重要な反応に欠かせない物質であるアデノシン三リン酸が組織の傷害や炎症によって細胞外に放出された際に働く受容体の一つであるP2X7受容体の発現が他の組織より少ないことを明らかにした。
同グループでは、組織ごとに異なる特性をもつマスト細胞の活性のかく乱が、体のさまざまな部位で起こる慢性的な炎症やアレルギーの発症につながっている可能性を新たに示したものだとしている。慢性的な炎症やアレルギーに対する予防や治療法の開発につながると期待されるという。(編集担当:慶尾六郎)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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