子宮内液には精子を殺す作用が、精液には子宮内で精子を守る作用があることが判明

2014年4月8日 16:37

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記事提供元:スラド

Hamo73 曰く、 子宮内液には精子を殺す作用があり、精漿(精液のうちの液性成分)には精子を守る役割があることが判明したそうだ(プレスリリースPDF朝日新聞)。

 国立成育医療研究センター生殖・細胞医療研究部の河野菜摘子研究員、宮戸健二室長らのグループがマウスによる実験で発見した。実験では精漿タンパク質SVS2が欠損したマウスを作成して交配を行ったところ、体外受精では受精率が高いのに対し、自然交配ではほとんど子どもが生まれなかったという。電子顕微鏡で解析したところ、SVS2がないマウスの精子は子宮内で細胞膜が破壊されて死滅していたことも分かり、子宮内液を取り出して体外で精子に加えると、ほとんどの精子が働かなくなったという。これらから、子宮内液には殺精子因子が含まれており、SVS2にはその因子から精子を保護する作用があることが明らかになった。

 従来、精漿は精子の受精能を制御し、子宮内液はなにもしないか受精を助ける方向に働くと考えられていたが、まったく逆の結果である。ヒトにも相同タンパク質SEMG1、2があり、同様の機能を持っていると予想される。ヒトの不妊の原因究明や新たな治療法につながる可能性がある。

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