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イー・ギャランティ Research Memo(8):堅調な事業環境の中で通期決算は想定線を確保へ
*16:48JST イー・ギャランティ Research Memo(8):堅調な事業環境の中で通期決算は想定線を確保へ
■今後の見通し
イー・ギャランティ<8771>の2014年3月期の連結業績は、会社計画で売上高が前期比10.6%増の4,000百万円、営業利益が同24.1%増の1,280百万円、経常利益が同24.0%増の1,300百万円、当期純利益が同21.0%増の700百万円となっている。これまでの進捗から見て、売上高は会社計画を若干下回る可能性があるものの、利益ベースでは想定線を確保し、過去最高益を連続で更新する見通しだ。
2014年1月以降も企業の倒産件数は減少基調が続いており、事業環境に大きな変化は見られない。信用保証残高は2014年3月末時点で、前期末の1,949億円から2,000億円前後まで拡大するものと予想される。
同社では信用保証残高の積み上げを図る施策として、2014年3月期以降、以下の取り組みを推進している。
○信用保証サービスのラインナップ拡充
顧客の様々なニーズに柔軟に対応するため、2014年3月期より「保証自由枠の拡大」と「長期契約の促進」に着手した。「保証自由枠の拡大」については、あらかじめ顧客に対して一定の保証枠を提供し、その範囲内であれば顧客が保証対象先企業を自由に選択できるというサービスを開始した。同社が対象企業を個別に審査し、指定していた従来サービスと比較して、顧客の自由度が大幅に向上することになる。また、「長期契約の促進」においては、通常1年ごとの保証期間を2年、3年と言うように複数年契約とした保証サービスを提供している。保証料率が2~3年後に現状の水準から上昇した場合、長期契約を選択したほうが信用保証料を低く抑えることが可能となる。
収益性はいずれも既存商品と大差ないが、多様なニーズに対応することで、顧客件数の拡大につながるものとして期待される。足元では長期契約のニーズが徐々に増えつつあるようだ。また、保証自由枠商品に関しては、倒産リスクが低下傾向にあるなかで、まだ目立った動きは出ていないが、国内景気が後退局面に入り、倒産リスクが上昇すれば、ニーズも増してくるものと思われる。
○営業管理システムの導入と見積期間の早期化
同社では2014年3月期から営業進捗管理システムを新たに導入している。日々増加する問い合わせや審査依頼、契約申し込みなど様々な営業フローを「見える化」することによって、生産性の向上を実現するのが狙いだ。実際、同ツールを導入したことで、問い合わせ件数に対する契約率が従来の約1.5倍に向上するなど、効果が既に顕在化し始めている。
また、2014年以降は審査データベースの拡充も進め、一段の生産性向上を目指している。営業担当によって作成される顧客ヒアリングシートをリアルタイムでデータベースに登録し、環境の変化に迅速に対応できる審査データベースを構築。そこに蓄積された多くの情報を基に、審査結果を信用保証料率へ適切・迅速に反映させ、顧客への見積提示期間の短縮を進めていく。従来は申し込みから見積提示までの期間として2週間程度かかっていたものが、半分程度に短縮できるケースが増えてきており、今後の生産性向上につながるものとして注目される。
○既存チャネルとの関係強化とWEB利用促進
顧客開拓の主要な販売チャネルである地方銀行との関係強化を進めるため、営業人員の担当銀行数を、従来の1人当たり2~3行体制から1人1行体制に変更した。きめ細やかな対応を実現したことで問い合わせ件数が従来よりも大幅に増加するなど、効果が早速出始めている。
また、サービスの申し込みから契約までのフローをWeb上で完結するシステムの構築を目指している。Webによる申し込みなど一部のサービスはテストマーケティングとして開始しているが、本格的なサービス開始は2014年夏ごろとなる見通しだ。主に既存顧客の契約更新時などにおける利便性向上を図ることが目的だが、今後サービス展開を開始する小口顧客向けでも強力な販売ツールになるものと期待される。
その他の取り組みとしては、金融機関向けサービスにおける認知度向上を図るため、同社はセミナーでの講演活動を強化している。金融庁が中小企業金融強化の一環として、売上債権の担保価値を定める方針を明確にしたことを背景に、日本銀行や各金融機関で主催するセミナーで売上債権保証を活用したファイナンス手法の講演を定期的に行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《NT》
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