患者からの「院内暴力」、5割の病院が経験 表面化しづらく

2014年3月26日 16:56

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記事提供元:エコノミックニュース

 病院側に理不尽な要求を突きつけたり、暴力をふるったりする「モンスターペイシェント(患者)」が増えている。昨年、都内の私大病院でつくる「私大病院医療安全推進連絡会議」が公表したアンケート結果では、11病院の職員2万2738人のうち、44.3%が過去1年以内に「院内暴力」(暴言、身体的暴力、セクハラ)を経験していた。加害者は高齢の男性患者が突出して多い。医師の説明方法にクレームをつけたり、待ち時間の長さに怒り出したりする例が目立つようだ。

 院内暴力の実態は見えにくい。08年の「全日本病院協会」によるアンケートでは、52.1%の病院が過去1年以内に何らかの院内暴力を経験していたのに対し、警察へ届け出た割合は5.8%に過ぎなかった。ほとんどは病院内で対処されており、現場の負担増につながっている。医師や看護師らは、患者への奉仕の精神を重視するあまり、理不尽な行為を受けても「暴力だ」と認識しづらいという問題もある。

 こうした問題が社会的に共有されるようになったのは、ここ十数年のことだ。全国の看護職らでつくる日本看護協会によると、99年に国際看護師協会(ICN)が「職場における暴力対策ガイドライン(“Guidelines on coping with violence in the workplace”)」を策定。その後、06年に日本看護協会が「保健医療福祉施設における暴力対策指針」を作成した。この頃から、院内暴力や「モンスター患者」の問題性が少しずつ浸透していった。

 現在、多くの病院では、患者へ向けた啓発ポスターの作成、監視カメラの設置、警備員の配置などの「暴力対策」をおこなっている。ある総合病院では、「患者様からの暴力や器物破損があった場合、損害賠償などの法的処置をとることがあります。また、その場で処置をお断りすることがあります」とのポスターが貼られていた。こうしたハード面の整備に加え、医療従事者らが暴力被害を1人で抱え込まないよう、相談できる風土づくりも重要だろう。(編集担当:北条かや)

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