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テラResearch Memo(3):保険適用を目指す「バクセル(R)」はがんワクチンとして最適化された技術
*16:24JST テラResearch Memo(3):保険適用を目指す「バクセル(R)」はがんワクチンとして最適化された技術
■会社概要
(2)樹状細胞ワクチン療法とは
がんの治療法には一般的に、「外科療法(手術)」「化学療法(抗がん剤治療)」「放射線療法」と3つの標準的な治療法があり、それぞれ単独で行われることもあれば、症状に応じて複数の治療法を組み合わせながら進めていくこともある。これに対して、同社<2191>が提供する「樹状細胞ワクチン療法」は第4の治療法と言われる免疫細胞療法の一種であり、がんの治療法では最先端の治療法として注目されている。
免疫細胞療法とは患者自身の体から血液(免疫細胞)を一旦採取し、それを培養、活性化して体に戻し、取り除きたい悪性細胞(がん細胞)を退治していく方法である。「樹状細胞」はこの免疫細胞のことを言い、体内で異物を捕食することによりその異物の特徴(抗原)を認識し、リンパ球(異物を攻撃する役割を持つT細胞等)にその特徴を覚え込ませるといった役割を担う。これにより、そのリンパ球が異物のみを狙って攻撃することができるようになる。こうした「樹状細胞」とリンパ球の体内での役割、特徴をがん治療に活かしたものが、同社の提供する「樹状細胞ワクチン療法」と呼ばれるものである。
ただし、「樹状細胞」は体内に数多くなく、まず患者から血液を採取し、採取した血液から単球を細胞培養施設(CPC:セルプロセッシングセンター)で培養し、治療に必要な一定量の樹状細胞を確保する必要がある。ちなみに、同社の細胞培養技術では1度の採血で1億数千万個の高品質で安定的な「樹状細胞」の培養が可能で、培養技術の高さは同社の強みとなっている。
培養した「樹状細胞」にがん細胞またはがん抗原を認識させたものが「樹状細胞ワクチン」となる。「樹状細胞ワクチン」において重要な役割を持つのがこのがん抗原であり、同社はがん治療に対して有用性があるとして高い評価を受けたがん抗原「WT1ペプチド」の「樹状細胞ワクチン療法」における独占実施権を保有している。
「樹状細胞ワクチン療法」の最大のメリットは、がん細胞のみを狙って攻撃でき、正常細胞を傷つけないことで、患者の体の負担が他の治療法に比べて軽いという点にある。また、がん種に関してもWT1ペプチドを使用することでほぼすべてのがんが対象になる。一方、デメリットとしては、保険適用外であるため患者の費用負担が一般的な治療法と比べて重いことにある。このため、現状では「手術」や「抗がん剤」療法など一般的な治療法では効き目が無くなった重度のがん患者、あるいは膵がんのように外科的手術が難しいがん種患者の症例数が多くなっている。なお、「樹状細胞ワクチン療法」は「化学療法(抗がん剤治療)」などの標準治療と組み合わせて行うことで効果を発揮する治療法となる。
同社では東大医科研や大阪大学、徳島大学、九州大学などの技術・ノウハウを積み重ねて開発した樹状細胞ワクチンを「バクセル(R)」と名付け、新たに商標登録した。語源は「vaccine(ワクチン)」と「cell(細胞)」から取っている。同社以外にも樹状細胞ワクチンを開発する企業が増えてきたためで、他社との差別化を図り、ブランド力を向上させることが狙いだ。
「バクセル(R)」の特徴としては、がんワクチンとして最適化された技術であるということ(高い培養技術、がん抗原WT1ペプチドの独占実施権を保有するなど)、個別化医療であること、多数の症例実績を基にしたエビデンス(科学的根拠)があること、保険適用を目指す医療技術であるということなどが挙げられる。個別化医療とは、個々の患者ごとに最適な医療を行うことを指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》
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