DVx Research Memo(8)主力顧客となる高齢者人口の増加を背景に着実にシェア拡大

2014年1月20日 20:34

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記事提供元:フィスコ


*20:34JST DVx Research Memo(8)主力顧客となる高齢者人口の増加を背景に着実にシェア拡大
■中期見通し

ディーブイエックス<3079>の2015年3月期の業績動向に関しては、保険収載価格の見直しが4月に予定されており、医療機器の価格引き下げが見込まれるため、増収率はややスローダウンするとみられる。ちなみに、2012年4月の改定では平均で7%の価格下落であったが、それでも数量増効果により同社は2ケタ増収を達成している。今回はペースメーカなどの内外価格差が10%程度に縮小してきていることもあり、下落率は前回より小幅にとどまる可能性が高いと弊社ではみている。一方で、販売数量に関しては引き続き症例件数の増加、基幹病院への患者集中の傾向が続くことで高成長が期待でき、結果的に2ケタ増収ペースを維持できるものとみている。リスク要因としては、為替の動向が引き続き挙げられる。

中長期的な業績トレンドとしては今後も安定成長が続く見通しだ。同社が取り扱う循環器系医療機器が必要となる対象患者数の75%超が65歳以上の高齢者であり、その高齢者人口は2025年度まで増加傾向が続く見通しとなっているためだ。また、高齢者のうち約2%にあたる約58万人が不整脈を持っているが(全人口では約100万人と推計)、そのうち心筋焼灼術などの手術による治療は年間で約3.6万症例にとどまっており、今後は治療費や医療機器の価格低下によって、症例件数の増加も見込まれる。特に、不整脈分野において同社は国内で質・量ともにトップの営業部隊(100人強)を持っており、今後も専門性を伴う営業力を武器にして着実にシェアを拡大していくものと思われる。

営業拠点に関して、新たな拠点開設の予定は現段階ではない。当面は現在の拠点で人材の育成強化に注力していく方針だ。不整脈事業における営業人員は来期以降1割増ペースで増強を進めていく予定で、陣容が整った段階で新規エリアの開拓を進めていく考えだ。

一方、虚血事業においても、エキシマレーザ治療における適用領域の拡大と導入施設の拡大によって今後も成長が続くものと予想される。今後、適用領域として期待される分野としては、「急性心筋梗塞」が挙げられる。急性心筋梗塞に関しては、発症すれば致死率が高く、下肢末梢動脈治療よりもさらに緊急性を有する分野であり、潜在需要も大きいためだ(年間43,000人が急性心筋梗塞で死亡している)。同症例におけるバルーンカテーテル、ステントの国内市場規模は年間で600億円と大きいだけに、今後の動向が注目されよう。

なお、M&Aの取り組みに関してはシナジーが期待できるところがあれば前向きに検討するが、主力となる不整脈事業においては、同社のように主力事業として専門的に扱っている企業がほとんどないこと、顧客との関係構築は営業マンの力量によるところが大きいことなどから、M&Aよりもむしろ優秀な人材を中途採用するほうが効率的であると考えている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト佐藤 譲)《FA》

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