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城南進学研究社 Research Memo(4):「現役合格保証コース」で生徒数は回復基調
*19:04JST 城南進学研究社 Research Memo(4):「現役合格保証コース」で生徒数は回復基調
■業態ごとの事業戦略の詳細
(1)予備校部門
城南進学研究社<4720>にとって「城南予備校」ブランドで展開する予備校部門は、創業事業であり、収益の中核事業である。2013年12月現在、首都圏(神奈川、東京、千葉、埼玉)に11校舎を展開している。
城南予備校の立ち位置は、いわゆる「GMARCH」と呼ばれる有名私立大学群をターゲットに置く、高校生・卒業生をメインの顧客層とするものだ。学力的にも一番のボリュームゾーンと言えるが、大学受験予備校であればほぼすべての予備校がこのゾーンをカバーすることになるため、競争は激しい。
城南予備校の学生数は2004年3月期をピークに減少が続き、ボトムとなった2011年3月期にはピークから4分の1以下にまで減少した。生徒数減少の要因は、少子化、景気悪化、大学全入時代到来、予備校間の競争激化、消費者ニーズの変化(集合から個別へ)、など様々なものが組み合わさった結果であり、特別に大きく影響を及ぼした要因があったわけではない。
文部科学省の統計で、各種学校のうちの予備校の生徒数の推移をたどると、その1993年から2012年までのおよそ20年間で、予備校の生徒数は6分の1にまで減少している。城南予備校を含めて、予備校業界全体が生徒数の激減に見舞われるのも、当然のことと言える。もちろん、この統計はすべての予備校生の数を把握しているわけではない。しかし予備校業界が置かれているマクロ環境を理解するのには有用であろう。また、大学受験生のニーズがハコモノとしての予備校からそれ以外のものへと拡散してきていることも示唆している。従来型の予備校という業態をどのように発展させてニーズの多様化に取り組んできたかが企業の盛衰のカギとなったであろうことは想像に難くない。
文部省統計を見た限りでは、日本全体の予備校の生徒数のトレンドには、まだ下げ止まり感は見えてこない。2008年度に22,430人という、過去最低値を記録した後、2010年度に24,559人と持ち直したかに見えたが、その後2年連続して減少し、2012年度には22,665人にまで再び減少した。2013年度の調査結果は例年ならば12月下旬に発表される予定だ。
一方、城南予備校の生徒数は2011年3月期に底を付けた後、2012年3月期には増加に転じ、着実に回復基調をたどっている。この大きな要因として同社が2010年1月に導入した「現役合格保証コース」にあると思われる。これは、現役高校生が満足のいく結果を得られず浪人生となって再度大学受験を目指す場合、翌年の予備校の基本授業料を無料にするという制度である。この制度は好評をもって受け入れられ、2012年度は高3生の53.1%が利用するまでに拡大した。
現役合格保証制度導入については、たとえば小売業でのポイント制が隠れ負債になるように、マイナスの影響も懸念したが、現実にはそれは全くの杞憂だったようだ。同社によれば、およそ60%近い現役高校生がこのプログラムに参加するものの、この制度を現実に利用して浪人する高校生はさほど多くはないとのことである。制度を利用した浪人生に対する予備校側の負担はほとんどなく、無料にするのは授業料だけなので、夏期講習費や教材費などで、結局は予備校の売上増につながる、ということだ。新入学生の約60%がこのプログラムに参加するという現状を踏まえると、この制度の宣伝効果、集客効果のほうがはるかに大きいという自社分析となっているようだ。
生徒1人当たりについての趨勢を見ると、現役高校生は55万円前後でほぼ横ばい状態だが、単価の高い既卒生については下落傾向が見て取れる。これを受けて同社は1人当たりの売上高の増加と合格実績伸長を狙って、「THE TANREN(鍛錬)」という演習中心の特訓プログラムを発売した。また、同じく高収益の合宿型特訓も発売している。これら高収益商品の販売状況は好調で、現在の申し込みは800名を超えている。同社は今後もこうした高単価・高収益型商品の開発・投入を継続する方針だ。
前述したように、マクロ環境的にも生徒数を増加させるのは決して容易ではない。同社も予備校の従来の「城南予備校」方式での安易な拡大は行わないとしている。そうしたなか、2013年3月に南浦和に11校舎目として「早慶専門館」をオープンした。これは想定生徒数が150~200人前後で、通常の城南予備校に比較して4分の1の規模だ。現時点では予備校の新校舎開設の計画はないが、同社の下村社長は、仮に新規開設を行うとすれば早慶専門館のように、明確な特色があって小規模なものとなるだろうとの考えを示した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)《FA》
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