インタースペース Research Memo(3):金融・保険やエンタメ業界が主な広告主

2014年1月15日 16:40

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記事提供元:フィスコ


*16:41JST インタースペース Research Memo(3):金融・保険やエンタメ業界が主な広告主
■事業概要

(1)インターネット広告事業

インタースペース<2122>はインターネット広告事業において、アフィリエイト広告を中心に検索エンジン最適化(SEO:※1)やリスティング広告、DSP広告(※2)などを手掛けている。売上高の大半はアフィリエイト広告による収入で、アフィリエイト運営事業者のなかでは大手の一角を占めている。

アフィリエイト広告とは成果報酬型のインターネット広告のことで、商品購入や資料請求などの最終成果が発生した件数に応じて広告主が広告を掲載したWebサイト(パートナーサイト)やメールマガジンなどの運営者に対価を支払う形態のことを言う。広告主からこれら広告掲載者に至るまでの中間段階として、アフィリエイトプログラムを提供する同社のような運営業者が介在することになる。

アフィリエイトプログラムとは広告掲載者が自身のサイトに広告を掲載するためのツールであり、使い勝手の良いツールが各運営業者から提供されている。同社は2001年にアフィリエイトプログラム「アクセストレード」を開発し、2013年9月末時点で38万サイトのパートナーサイトで使用されている。

同社の収益は広告主からの広告料を売上高として計上し、そのうちパートナーが受け取る報酬額を支払成果報酬として売上原価に計上している。原価率はここ数年、緩やかながらも上昇傾向となっている。これは顧客構成の変化や支払報酬率の高いモバイル向け売上比率の上昇に起因しているものと考えられる。

同社の広告主の業種別売上構成比の推移はグラフの通りで、金融・保険とエンターテイメントがそれぞれ30%超と大きく2つの合計で6割強の水準となっている。金融・保険ではFX業者向けに強く、エンターテイメント向けではオンラインゲームの比率が高くなっている。

また、同事業の売上高を種類別で分けると、パソコン(PC)向けアフィリエイトの比率が6割程度を占めているが、このなかには実際はスマートフォンによって広告を閲覧し、商品の購入など成果報酬につながったケースも多く含まれている。スマホの普及拡大が、アフィリエイト広告市場の成長を牽引したとも言える。

なお、SFAとは「Store Front Affiliate(ストアフロントアフィリエイト)」の略で、リアル店舗型のアフィリエイト広告サービスを指す。主に携帯電話販売店にてサービス提供を行っているもので、携帯電話の購入者に対して、広告主が提供するコンテンツアプリやサービスをショップ店員が勧め、ダウンロードやサービスを開始した段階で成果報酬が発生する仕組みとなる。店員が直接、顧客に商品を提案することが可能であり、広告主にとっては費用対効果の高い広告サービスとなっている。同社は携帯電話ショップでのSFAに関しては、業界でもトップクラスの実績とネットワークを形成している。

こうしたアフィリエイト広告の収益を伸ばすには、いかに人気の高いWebサイトやブログ運営者をパートナーとして囲い込むかが重要な戦略となる。閲覧者数が多いサイトのほうが成果につながる確率も必然的に高まるためだ。同社の提携サイト数は38万サイトを超える水準まで拡大しているが(業界最大はファンコミュニケーションズ<2461>の約180万サイト)、このうち上位50サイトで全売上高の約8割を占めていることからも、その重要性がうかがえる。


※1 検索エンジン最適化(SEO):検索エンジン経由での集客を増やすための施策。希望するキーワードでの検索結果において、より上位に表示されるようにウェブサイトに施す対策、及びその技術を指す。

※2 DSP広告:DSPは「Demand-Side Platform(デマンドサイドプラットフォーム)」の略。オンライン広告において、広告主側の広告効果の最大化を支援するツールのこと。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《NT》

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