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アドクリ Research Memo(7):「保険市場」を基盤に売上成長率10%・経常利益率20%を目指す
*17:39JST アドクリ Research Memo(7):「保険市場」を基盤に売上成長率10%・経常利益率20%を目指す
■成長戦略
アドバンスクリエイト<8798>は、今後も圧倒的な集客力を持つ情報メディアサイト「保険市場」を基盤として、年率10%前後の売上成長と売上高経常利益率20%以上を目指していく考えだ。そのための成長戦略に関して、以下に簡単に紹介する。
○モバイル端末(スマートフォン/タブレット端末)への対応
スマートフォンやタブレット端末の普及により、モバイル端末経由で資料請求する比率が急速に高まっている。スマートフォン経由の資料請求件数でみると2012年9月期の約15,000件から2013年9月期は2.8倍増の40,000件強へと急増している。全体の資料請求件数に占める比率では10%から30%近くまで上昇しており、直近では40%を超える勢いとなっている。こうしたモバイル端末はOSなどの技術進歩も早く、新しい技術に対応したWebサイトのバージョンアップが必須となっている。同社では社内に専門のシステムエンジニアを抱える強みを活かして、こうした技術進化に迅速に対応することで、情報メディアサイトとしての「保険市場」の優位性を確保していく方針だ。
○対面型販売における商業施設店舗からコンサルティングプラザへの転換
2013年4月に行った販売拠点の戦略見直しで、商業施設店舗からの全面撤退、新たに主要都市部でのランドマークビルに集約した。2014年5月には大阪の「あべのハルカス」にも新たに出店を計画している。従来の商業施設店舗では23店舗/120人体制で行っていた営業業務を、全13拠点/100名体制にスリム化した。全体の人員を絞り、固定費を抑制する一方で、拠点の集約化(=情報の集約化)を図ることによって、生産性は向上していると言う。また、ランドマークビルに拠点を集約したことにより、富裕層からの見込み客が増加したことも成果の1つとなっている。Webサイトからの誘導による来店・訪問予約のアポイント数は、2012年9月期の25,000件強から35%アップの35,000件強へと増加するなど、拠点戦略の変更によるプラスの効果は既に出始めている。予想以上にコンタクト件数が増加していることもあり、一部拠点では営業人員に不足感が生じてきているのも事実で、今後拠点によっては人員の増員なども検討課題となってこよう。コンサルティングプラザでは引き続き質の高いコンサルティングサービスを提供していく。
一方、同社がカバーしていないエリアに関しては引き続き協業店舗の拡大によって需要を取り込んでいく戦略だ。2013年11月現在で428店舗の協業店舗との販売ネットワークが構築されている。今後も協業店舗数の拡大を進めていく。
○情報セキュリティ・コンプライアンスの強化
金融審議会による保険代理店に対する募集販売ルールの見直しが、「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」で進められている。同社ではこうした動きに先駆け、コンプライアンス体制の強化や情報のセキュリティ強化に努めている。情報メディアサイト「保険市場」をビジネスのメインエンジンとするだけに、個人情報保護の徹底は同社にとって最大の責務である。
コンプライアンスは研修の実施や自社法務部門による牽制を強化。特に個人情報保護が絡む情報セキュリティに関しては、プライバシーマーク(Pマーク)を既に取得するとともに、大手監査法人によるセキュリティ監査も実施している。また、サイトそのものの監視も、目視や監視ツールを活用したチェック機能の強化、サイト監視業者によるアフィリエイトサイトへの管理強化など、オーバークオリティと評されるほどの監視体制を敷いている。とりわけ、協業店舗に関しては集合研修やインターネットを通じたe-ラーニングなどを活用しながら、個人情報管理体制の指導をこれまで以上に徹底し、管理の目を絶えず光らせていく方針である。また、サービス品質の維持向上を目的に、定期的に顧客に対するモニタリングコールも実施しており、何か問題があれば迅速に対応するなど、顧客満足度の向上にも努めている。
○「情報収益」と「死差益」による収益増大と保険の「ショールーミング化」
収益面では、「情報差益」と「死差益」を両輪とするダンベル型モデルを構築。情報差益とは、いわゆる代理店手数料を意味し、保険代理店事業で得る王道の収益である。一方の死差益とは、想定した死亡率と実際の死亡率の差によって発生する利益のことで、同社が著しい伸びを示している再保険会社の元受収益に当たる。この両収益を連動させるビジネスモデルにより、堅実で確固たる経営基盤を築き上げている。
その他、乗り合い代理店やネット生保への参入事業者の増加に伴い、興味深い現象が保険流通業界で起きている。それが保険の「ショールーミング化」である。ショールーミングとは、家電量販店など小売業界における消費者の購買行動の一種のことで、消費者が商品を購入する際、その商品価値や実物などを量販店などの実際の店舗で確認して情報を仕入れるものの、実際の店舗では購入せずに、価格のより安価なインターネット通販で購入すること。実際の店舗が、ネット通販のためのショールームのように使われ始めたことに由来する。保険商品の増大に伴い、消費者も賢明になってきており、保険商品を選択するにあたって、同社にセカンド・オピニオンを求めるようになってきている。これは同社への信頼を示すとともに、保険のショールーミング時代の到来を示唆するものである。
○「保険比較サイト」から「情報メディアサイト」への昇華
これまでの同社Webサイト「保険市場」は、あくまでも潜在顧客獲得のための、ビジネスに徹した保険比較のための実用サイトであった。ここに、著名人によるコラムなどのコンテンツを1日1本、月間30~40本掲載し始め、「保険比較サイト」に新たな付加価値をつけて、「情報メディアサイト」へ昇華させていく。具体的な取り組みとしては、「保険市場コラム 一聴一積」という著名人による専門コラムの掲載をスタートさせている。例えば、シンクタンク「ソフィアバンク」代表の藤沢久美氏による「世界各国は、グローバル人材をどうやって育てているのか?」と題する連載、あるいは育児漫画家・絵本作家の高野優氏による「迷える子育て」の連載が続いている。それだけではない。前述した吉本興業所属の芸人・鉄拳氏によるパラパラ漫画「約束」なども同様だ。
こうした取り組みが功を奏し、予想もしなかったナチュラル・リンク(自然に自社サイトに向けられて貼られたリンク)が拡大。さらなる潜在顧客の発掘に貢献している。また、別の効果では、「保険市場」サイトのアクセス数増大に伴い広告収入も拡大し始めており、今後は広告収入の成長も期待できるようになってきた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》
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