「午尻下がり」か「午尻上がり」か新年相場の滑り出しは消費税増税関連株の人気持続性で確認も一法=浅妻昭治

2013年12月30日 09:53

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

  安倍晋三首相も、飛んだ編集者泣かせである。例の就任1年目の12月26日に敢行した靖国神社参拝である。事の是非はともかく、これにより顕在化するかもしれない対中国、対韓国、ことによったら対北朝鮮の地政学的リスクが、すでに輪転機で刷り終わり、今、書店の店頭に山積みされている経済誌、証券誌の新年号の新年相場大特集テーマからゴッソリ抜け落ちることになったからだ。6日間にわたる年末年始の長期休暇中に、靖国神社参拝に対してどこかで何らかのリアクション、不測のハプニングでも突発しようものなら、店頭に並んだ新年号は、誰にも見向きもされず手にも取ってもらえなくなることは間違いなく、編集者は、売れ残り、返本の山を抱え込む心配をしなくてはならなくなる。

  投資家サイドでも、地政学的リスクのうえに、日本株買いの最大のエンジンである外国人投資家の出方を読まなくてはならない余計な厄介事を強いられる。まさか海外勢が、「失望した」とコメントした米国政府にならって、「失望売り」を浴びせてくるとは思えないものの、まったく楽観というわけにもいきそうにもないのが始末に悪い。どう転ぶかを地政学的リスクを含めて、地政学的リスクのシンボル株とされる石川製作所 <6208> の株価動向によって自己責任で判断しなくてはならないのは心細い限りだ。

  さてきょう30日は、1年納めの大納会である。きょう1日、「株券を枕に越年」の積極売買をするか、それとも定石通りに長期休暇を前にポジション調整の換金売りに徹するのが正解か悩ましい1日となる。この投資判断は、干支が「午」となる新年相場が、投資アノマリーの「辰巳天井、午尻下がり」となって新年早々にも調整期入りとなるか、それとはまったく逆の「辰巳天井、午尻上がり」となるか、どう相場シナリオを組み立てるかにかかっているのはいうまでもない。

  その新年相場の最大のリスク要因といえば、4月からの消費税増税である。5%が8%にアップされて8兆円もの購買力が市場消失するのである。これに対して安倍政権は、補正予算で5兆円、減税で1兆円の景気サプリメントを注入する予定にあるが、円安で電気・ガス料金などの諸物価が軒並み値上がりし、折から冬物野菜も、台風の影響で価格が高騰、一般家庭の台所を直撃しているのである。さらに年金給付額が減額される年金生活者も少なくないことから、年明けとともに株高による「資産効果」などの浮かれ気分も、年明けとともに霧散し、ネガティブにサイフのヒモを引き締める可能性もないではないのである。

  新年相場の滑り出しは、消費税増税の景気下押し圧力が、想定範囲内に収まるのか、それとも想定外の落ち込みを覚悟しなくてはならないか瀬踏みが続くはずである。そこで「株価は株価に聞け」である。消費税増税の影響を関連株の株価動向によって予見、勝手読みしてみようというのが、当コラムの今回のテーマである。この関連株は、消費税増税の駆け込み需要の反動減を受ける住宅株や自動車株、小売り株などではなく、逆に増税関連の特需を享受する銘柄である。

  すでに前週末27日に消費税増税の特需を先取りして関連株の数多くが、年初来高値を更新しており、その高人気が、新年相場でも継続するかどうかで市場のセンチメント、買い気が強いかどうかを試してみようというのである。高値を取った銘柄は、流通業界向けのPOS(販売時点情報管理)システムでメンテナンス・更新需要が期待される東芝テック <6588> や会計事務所向けの税務会計ソフト需要が予想される日本デジタル研究所 <6935> などが代表株だが、このほか関連株の裾野は広く、どの銘柄の株価で株価の先行きを聞くか、それこそ選択肢は多岐にわたることになる。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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