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成長途上にある電子書籍市場の今年を総括
驚異的な普及率こそ見せてはいないものの、2013年、電子書籍市場は確実に成長したと言える。電子書籍専用端末以外のタブレット端末やスマートフォン(高性能携帯電話)が普及したことにより、ユーザーの数は増加傾向にある。とはいえ、まだまだ「本は紙で読むもの」という意識が根強く残る中、出版社や電子書店はこれまで以上にその意識を変革出来るようなインパクトのある戦略を打ち出す必要がある。
インプレスビジネスメディアのリサーチでは、13年の電子書籍の市場規模は768億円で、14年にはこれが1010億円に拡がるとみている。そして、こうして拡大する市場で先頭を走るのが、米アマゾン傘下の電子書店「Kindle(キンドル)ストア」だ。
今年の11月で1周年を迎えた「Kindleストア」だが、アマゾンの持つ総合ショッピングサイトとしての販売力を電子書籍の分野でも発揮し、インプレスR&Dのリサーチによれば、今年の10月時点での「Kindleストア」の利用率は4月に行われた時よりも5ポイントアップして、55.2%にまで伸び、一人勝ちの様相すら呈している。
また、海外のサーバーを利用して販売される電子書籍には消費税がかからないため、外国企業は価格面の点において有利だ。14年4月には消費税が増税されるが、それによりさらに国内企業との価格差が生じることとなり、こうした問題に関しても検討していく必要がある。
スマートフォンやタブレットの普及は、間違いなく電子書籍にとって追い風であるはず。事実、スマートフォン普及の影響により、これまで電子書籍の主な読者層は40~50代だったが、20代の若者たちもスマートフォンでもって電子コミックなどを読むようになった。さらには雑誌も続々と電子化されており、5月には講談社が青年コミック雑誌「モーニング」の電子配信を、9月には小学館がファッション雑誌の電子配信を開始した。
日本では普及が遅れていると言われている電子書籍ではあるが、しかしユーザーの間ではすでに、「どの書店が良いか?」「どの本を読むか?」といった取捨選択は行われ始めている。こうしたユーザーの厳しい評価に適う書店がどの程度出て来るかによって、その市場の命運は左右されると言っても過言ではないだろう。(編集担当:滝川幸平)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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