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「掉尾の一振」と「株券を枕に越年」の狭間で来年の干支「午」関連株に先回り買いも一考余地=浅妻昭治
<マーケットセンサー>
師走相場の強気のマーケットコメントといえば、もちろん「掉尾の一振」である。一年納めの残り1カ月間、なお買い出動して一回転、二回転を図ってリターンの最大化を目論もうという投資スタンスを表している。しかし、このマーケットコメントを上回る強気の相場観測を表現する常套句がある。「株券を枕に越年」である。
この変化が激しく先行きが不透明で、「板子一枚下は地獄」のリスクが横溢している昨今の相場環境下で、年末年始の長い正月休み中も、枕の下に買い持ち株を寝かせて、「リスク・テーク」の初夢をみようというのである。翌年相場への余程の確信がなければできない投資スタンスであるからだ。
この「株券を枕に越年」のマーケットコメントが大合唱となったのが、忘れもしない1989年の師走相場であった。日経平均株価は、12月29日に上場来高値3万8915円まで急騰したが、翌年相場は、日経平均が5万円どころか、10万円までさらに急騰するなどの強気観測まで飛び出し、「株券を枕に越年」はほぼ市場コンセンサスとなった。ところが年明けとともに相場は失速、急落に次ぐ急落となった。バブル相場がはじけたのである。
さてきょう2日からスタートした今年の師走相場では、どのようなマーケットコメントが聞かれるのか?「掉尾の一振」の強気コメントが突出することはまず間違いところだろう。このまま円安・ドル高の為替相場続けば、企業業績の上ぶれ観測は高まり、外国人投資家の買い越しも継続し、輸出主力株中心に上値を追うはずだからである。しかし「株券を枕に越年」のコメントについては、やや疑わしい。来年1月から証券優遇税制が廃止されて譲渡益課税の税率が、軽減された10%から本則の20%に戻されるからだ。
師走相場は、株価が上値を追うほど高値ではこの優遇制度廃止を先取りして節税目的の換金売りが増加し、年明け相場も、この影響を見極めようとする様子見ム-ドが強まるとみられるからだ。今年の師走相場は、この換金売りが波乱となって、「2日新甫」相場は、荒れるとのアノマリー通りに高値での売り逃げ競争になる可能性も否定できない。
問題は、この相場シナリオ通りに換金売りが増勢となるとして、この換金売りした資金が、次にどこに向かうかにある。市場の一部では、換金資金が、1月からスタートするNISA(少額投資非課税制度)の口座に流入するとの観測も出ている。口座の限度額は年間100万円と微々たるものだが、政府は、2020年までにNISAの投資総額を25兆円まで引き上げることを目標としているだけに、これを先取りすれば、あるいは「株券を枕に越年」する投資スタンスにマッチする銘柄にアプローチできるかもしれないのである。
そこでこの一環として、急に古色蒼然としてオールドエコノミー的になって恐縮だが、来年の干支「午」関連株に注目してみたい。さらにかつて師走相場では、翌年相場の活躍銘柄として宮中で開催される歌会始の「お題」関連株にも注目する歳時記シナリオも話題となっており、換金売りで相場全般が波乱展開するなか、下値対応に一考余地が出てくる可能性もあるからだ。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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