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キリンと東京大学、共同で細胞内温度を計測する技術を世界で初めて開発
キリン<2503>の基盤技術研究所(横浜市金沢区、所長 水谷悟)は、東京大学大学院薬学系研究科との共同研究で細胞内温度計測用の「蛍光プローブ」を開発し、それを用いて、酵母細胞やほ乳類細胞の正確な細胞内の温度計測を実現した。今回の研究開発により、今まで困難だった酵母細胞の細胞内の温度計測に世界で初めて成功したことになる。
古くより、細胞の複雑な機能は細胞温度と密接な関係にあると考えられてきた。特に酒類などの発酵品の製造工程においては、細かい温度調整を行いながら微生物の働きを制御しており、細胞の温度制御が非常に重要だ。また、医学分野でも、がん細胞などの病態細胞は正常細胞と比較して高温であることが指摘されており、細胞の温度計測への注目が高まっている。
東京大学では、以前より「蛍光プローブ」を用いた細胞内の温度分布計測の技術を実現していたが、細胞へ「蛍光プローブ」を導入する際に特別な装置や技術を要するほか、微生物などの小さい細胞には非常に利用しにくいという問題があった。
今回、同大学と同研究所は、従来の細胞内温度計測用の「蛍光プローブ」を改良して細胞への導入を簡易にし、酵母細胞内の温度計測を世界で初めて実現した。
具体的には、「蛍光プローブ」の構造内にプラス電荷を持った分子を組み込むことによって、「蛍光プローブ」を「細胞懸濁液」中に混ぜるだけで出芽酵母の細胞に導入できるようにした。細胞内に導入された「蛍光プローブ」は細胞の温度変化に応答し、最高で0.09℃の微小な温度差を検出できたほか、酵母細胞だけでなくほ乳類細胞にも適用できるなど、高い汎用性を備えていることを実証したという。
今後は、この「蛍光プローブ」を用いて発酵における酵母の細胞内温度変化について細かく調査し、発酵過程のさらなる理解を進めていく。さらに、この技術によって得られた知見が発酵品の生産に生かされるとともに、細胞の機能と温度との密接な関係が明らかになり、今後の生物学や医学の発展を促すことも期待されるとしている。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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