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1日10時間以上働いて月収10万、社会保険なし―。悲惨な美容室業界でも儲ける方法
一時は“カリスマ美容師”の名前まで誕生し、若者の人気の就職先にもなった美容室業界。しかし、実体は1日10時間以上の労働で稼ぎは月10万円程度、残業代はもちろん、社会保険さえ加入できないという厳しい世界であることは、今はつとに知られている。相当な有名店でなければ生き残りさえ難しいということも半ば常識になっている。
一方、まったく無名な個人経営であっても、「従業員を4人雇って、ボーナスも出せる」という美容室がごく一部だがある。
この美容室の経営者によれば、従業員には、ボーナス込みで年収300~450万円程度を支払っているという。一般企業の勤め人に比べれば決して高くはないが、美容室業界としては、かなり立派な給与といえるだろう。
収益を上げている要因は、“店販(てんぱん)”。店で使うシャンプー、リンスなどを来店客に販売するビジネスだ。この美容室は、化粧品なども販売している。店販の売上は「企業秘密」としているが、「利益率は数十%、労働集約型の本業よりもかなり高い」そうだ。
実際、こういったビジネスモデルは、世界の大型店では当たり前となっているようだ。たとえば、売上世界一の米レジス・コーポレーション。世界10か国に約1万店を展開している。店舗の特長は、入り口にずらりと並べられている化粧品やヘアケア製品。本業の美容室は店舗の奥にあり、見えにくいため、何も知らない人は、化粧品ショップと間違える。
しかし、店販で成功するのは、決して簡単ではない。第一に美容師の気質が邪魔をする。「自分は職人だという自負がある。『シャンプーなんか売れるか』、という気持ちが先に立つ」(前出の美容室経営者)。
気持ちを切り替えて、店販に精を出そうとしても、また、難問が立ちふさがる。「美容室で使うシャンプーやリンスは、専門メーカーの高級品。モノはいいが、1か月分で2,500円以上する。これをお客さんに売るには、相当の営業力が必要」(同)
さらに、この経営者のように化粧品まで売ろうとするとさらに苦労が重なる。「カネボウの事件とまではいかないが、肌に塗る化粧品には、やはりリスクがある。最悪のことを考えると、売ろうという決断がしにくい」(同)。
しかし、人と同じことをしていても成功できないのは、どんなビジネスも同じ。「値が張っても、一度買ってくれたお客さんは、景気に関係なく買い続けてくれる」(同)というメリットもある。
また、今の業界には、“助っ人”も存在している。たとえば、美容室向け専門メーカー最大手のミルボンをはじめ、美容室経営支援に特に力を入れているコタなどは、経営コンサルティングの強化を一番の経営目標にしている。
成功を勝ち取るのは、その人の気持ち次第、という側面もあるのかもしれない。(編集担当:柄澤邦光)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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