積水ハウス 制震性能と大開口を両立させる構造を新開発

2013年10月5日 20:16

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記事提供元:エコノミックニュース

制震性能はそのままに、大開口の間取りを可能にするハイブリッドシーカス

制震性能はそのままに、大開口の間取りを可能にするハイブリッドシーカス[写真拡大]

 積水ハウス株式会社は、鉄骨2階建て住宅に、耐力壁と同社オリジナルの制震壁「シーカスフレーム」を同位置に重ねて配置することで設計の自由度を高める「ハイブリッドシーカス」を開発し、10月1日より導入を開始した。

 地震大国といわれる日本の住宅や建物において、地震に備えた建築構造は必須の考え方だ。とくに1995年の阪神淡路大震災、そして2011年の東日本大震災と、わずか20年足らずの間に未曾有の大震災を繰り返し経験したことによって、日本人の地震に対する防災意識は飛躍的に高まっている。

 地震に対する建築設計の構造には、大きく分けて3つの概念がある。一つは、地震力を建物に伝わらないようにして揺れを低減する「免震」。地震の力に耐える「耐震」、そして地震エネルギーを減衰することで、建物の変形を抑える「制震」だ。

 制震構造の利点としてはまず、免震に比べてコストが安価で済むという点だ。そのため、一般住宅の地震対策としては耐力壁を用いた耐震構造が主流となっている。

 もちろん、制震構造にも弱点はある。地震に強い建物にする為には、耐震壁や制震壁を一定量配置する必要があるため、開口部が狭くなったり、壁が多くなるなどの設計上の制限が少なからずあるということだ。

 今回、積水ハウスが開発した「ハイブリッドシーカス」は、同社の鉄骨2階建て住宅の86パーセントに搭載されている制震システム「シーカス」の制震壁「シーカスフレーム」と耐力壁を同位置に重ねて配置することで、この問題を解決。優れた制震性能を維持しながら、壁を減らしたり、開口部を大きくしたり、設計自由度を大幅に向上させることに成功した。

 また、制震にも様々な方法があり、繰り返しの地震で性能を維持できないものもある。しかし、「シーカス」は粘弾性ゴムで地震動を吸収する制震構造のため、大規模な地震の後の繰り返しの余震などでも性能を維持できる。「ハイブリッドシーカス」は、同社の主力商品である「IS ROY+E」「Be Sai +e」に導入され、従来のシーカスと同じ価格で導入することができるという。

 積水ハウス 開発部の国宗 充部長は、会見で「ハイブリッドシーカスを利用することで、これまで以上に大開口や大きな軒下空間など、快適さとデザイン性を備えた建物の設計が可能になる。大開口で外と内を心地よくつなぐ開放的な空間「スローリビング」の提案を強化していきたい。」と語った。

 住宅、不動産業界は今、消費税増税前の駆け込み需要への期待が高まる一方で、その後の大きな冷え込みが懸念されている。それを防ぎ、安定した業績を確保するには付加価値の高い商品で顧客のニーズに訴えていくしかない。そういう面でも、地震に対する安心とデザイン性や開放感が両立できる「ハイブリッドシーカス」のこの時期の導入には、今後予測される需要の揺れを吸収する大きな効果も期待できるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)

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