ナガイレーベン Research Memo(2):売上高の過半数を占めるヘルスケア用ウェア

2013年8月22日 17:19

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記事提供元:フィスコ


*17:20JST ナガイレーベン Research Memo(2):売上高の過半数を占めるヘルスケア用ウェア

■事業概要

(1)売上構成

ナガイレーベン<7447>の製品は医療白衣とその関連製品となる。アイテムは看護師の白衣が中心のヘルスケア用、医師や検査技師向けのドクター用、手術用、患者用、看護師のカーディガンやエプロンといったユーティリティ、シューズ、その他となっている。それぞれの売上高比率(2013年8月期の第2四半期)は、ヘルスケア用57.6%、ドクター用15.2%、手術用9.6%、患者用9.0%、ユーティリティ5.4%、シューズ1.6%、その他1.6%となっている。利益率は仕入商品であるシューズとその他が低い一方、自社で企画から販売までを一貫して行うヘルスケア用、ドクター用、手術用、患者用、ユーティリティは同程度の高い利益率を維持している。

また、商品を機能別に分けると、量産品(5.0千円以下)、標準機能性商品(5.0~7.5千円)、高機能商品(7.5~10.0千円)、DCブランド(10.0千円以上)となる。これらのうち、価格が7.5千円以上の高機能商品とDCブランドが売上高の5割を超す。利益率は高価格な商品ほど高くなる。

地域別の売上高比率は東日本53.0%、西日本36.5%、中部日本9.6%、海外0.9%となっている。

(2)販売ルート

同社の製品の販売先は、病院等の医療施設および介護施設などである。直販でなく、すべて医療機器卸売業者やリネンサプライヤーなど約1,000社近い代理店網を通じての販売となっており、販売コストの抑制を実現している。ただし、大規模病院など大口のクライアントには、同社の営業社員が販売促進をしており、ニーズ把握に努めている。


(3)製造

製造は、国内生産57.9%、海外生産39.4%、仕入商品2.7%(2012年8月期)となっている。海外生産は現地のパートナー企業に生産委託するかたちになっている。これにより、投資リスク低減とコスト削減の両方を実現している。

海外生産に伴う為替リスクは、円安の場合に収益の目減りというかたちで発生する可能性があるが、2~3年先までの為替決済の80%程度を先物予約することでヘッジしている。その結果、為替の変動による影響は少しずつ表面化する傾向にある。さらに、ドル預金(約2,000百万円相当)も行っており、円安による収益の目減りを防いでいる。


(4)売上高の季節要因

医療白衣と周辺製品に特化したビジネスモデルであるため、クライアントも医療機関や介護施設といった特定の業種・業態に限定される。そのため、売上高には季節要因で変動が生じる。具体的には、多くの病院や介護施設の期末となる毎年3月に売上が最も多くなる。在庫に関しては、2月がピークになり、同社の期末である8月が底になる。したがって、同社の業績を分析するうえで、3月を含む第3四半期の業績はひとつのポイントになる。


(5)シェア

同社は、医療白衣において国内シェアの60%超を有する。一方、2位のシェアは7~8%程度である。スケールメリットなど多くの点で、既に同業他社は同社に追随することが難しくなっている。


(6)利益率

2012年8月期の売上高営業利益率は30.6%、2013年8月期の予想は31.3%となっている。また、売上総利益率は、2013年8月期の第3四半期累計で46.9%を確保している。国内の上場メーカーが売上高営業利益率10%を目標にしながら、未だ多くの企業が達成できない状況を見れば、利益率の高さには目を見張るものがある。


(7)高いシェアと利益率の要因

投資先としての同社を評価するうえで、国内シェアと利益率の高さは重要なポイントである。そこで、以下にその要因について説明する。


○企画から販売までの一貫体制

同社は、シューズ等を除いて企画、製造、販売をすべて自社で行う体制を構築している。したがって、外部への利益流出がない。


○医療白衣に特化した日本で唯一のビジネスモデル

同社は、医療白衣とその周辺商品に特化した国内唯一のメーカーである。一方、競合他社は、あらゆる業種向けの白衣を取り扱っている。この業種を特化したビジネスモデルこそ、今のシェアと利益率を実現できた大きな要因である。

白衣と一言で言っても、医療用だけでなく、飲食業向けや理容向けなどの白衣もある。白衣は作業着でもあるため、クライアントの業種によって性能やデザインも大きく変わる。したがって、ひとつのメーカーがあらゆる業種・業態の白衣を扱う場合、業種・業態ごとに商品企画・製造法・販売法を変える必要がある。その結果、人材を含めて投下する資源を分散せざるを得ない。

一方、医療用に特化すれば、資源の集中投下が可能になる。その結果、緻密なクライアントニーズの把握や、商品開発ができるようになる。そして、それらが蓄積することによって、他社と差別化された製品開発や販売方法およびサービス提供、コスト管理を実現した。これをもう少し具体的に説明すると以下のようになる。


○商品の差別化

クライアントニーズをより深く把握することによって、他社と差別化された商品の開発に生かせる。たとえば、医療機器の誤作動を起こさないために静電気の発生しない生地や、感染症対策のために制菌加工を施した生地を開発したりということが挙げられる。同社は東レ<3402>と共同で生地の開発を行っている。繊維の最大手メーカーと組むことができるのも、その生地が採用となれば、まとまった量の需要が見込めるからである。ユーザーニーズに的確に応える商品開発によって、より良い事業者と組むことができ、利益率のより高い高機能製品の販売が拡大するという好循環が生まれている。


○独自の販売法とサービス提供

クライアントニーズの吸収は、製品開発だけに生かされるわけではない。販売面でもニーズの把握は生きる。たとえば、30~40年前の病院白衣の洗濯は院内洗濯が主流であったが、経営の効率アップを図る病院側は、院外へのアウトソーシングを始めた。そこに誕生したのが、現在同社のメイン取引ルートであるリネンサプライヤーである。そのリネンサプライヤーに同社の独自開発した洗濯ランニングコストを低減させる機能白衣を提案したところ、瞬く間に日本全国に普及した。このような独自の提案営業によって、顧客満足度を高めながら、安定した収益を生むことができる。


○効率的な商品管理

同社の特色のひとつとして、品揃えの充実と、短納期が挙げられる。商品は医療・介護用を含めて約5,000種類あり、翌日納品が可能となっている。短納期の理由は在庫を常に持っているためだが5,000種類もの製品を翌日に納品できるだけの在庫はリスクが高すぎて保有できないと考えるのが普通である。しかし、同社では個々の製品の回転率をもとに、製品ごとの在庫数量を適切に管理できるノウハウを確立している。実際、同社の在庫回転率は5.8回(2012年8月期)と非常に高い水準を維持している。翌日配送によって、クライアントからは高い評価を得ることができ、シェア拡大に大きく寄与する。さらに、同社は秋田と広島に物流倉庫を保有し、配送を自社で行っている。同社の売上が3月に急拡大するなどの特色があるため、外部ではなく自社で配送することによって、配送に伴うコストの削減を図るためである。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤邦光)《FA》

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