「なでしこ銘柄」は参院選後のサマーラリーで政策テーマ株の一角に再浮上を期待=浅妻昭治

2013年7月22日 10:15

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

  7月21日、テレビ各社の参議院選挙特番は、投票時間締め切りの8時とともにいっせいに自民・公明両党の与党の過半数の議席獲得、「ねじれ国会」の解消を速報し始めた。事前の報道各社の情勢分析通りで、参議院選挙の前哨戦と位置付けられた今年6月23日投開票の東京都議会議員選挙と同パターンである。

  一夜明けた週明け22日の株式市場への影響が、注目されるところとなる。すでに株価に織り込み済みと評価して下に夜放れるか、選挙の争点となった安倍政権の経済政策「アベノミクス」の第3段ロケット発射への期待を高めて上へ夜放れるか、それともなお方向感を探るもみ合いとなるかだ。当コラムが、読者の皆さんに届くころには、すでに市場のコンセンサスは固まっているはずだが、この与党の圧勝が、小学生でも分かる足し算、引き算のように、問題から単純に答えが導き出されて即、株高とはならないところが、生き物の株式市場の捉えどころのない難しさではある。現に、昨年12月の衆議院議員選挙では、日経平均株価は、選挙後に3日続伸して1万円台を回復したが、今年6月の都議会議員選挙では、選挙翌日から3日続落して再び1万3000円台を割っており、同じように与党の圧勝に終わったにもかかわらずまったく逆の株価結果となった。

  どのパターンになるにしろ、株式市場にとっては、前週のバーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長の議会証言に続き、重要イベントを通過したことになる。不確定要因が一巡したことは間違いなく、ここからは「アベノミクス」の次の一手を先読み、為替相場がどう反応するか、企業マインドがどう動いていよいよ本格化する3月期決算会社の第1四半期(4~6月期、1Q)決算にどのような影響を与えるのかを見極める相場ステージに入る。要するに「アベノミクス」相場は、昨年11月からの理想買いで今年5月の1万5942円まで7323円高、85%高したが、ここからは現実買いでさらにどれだけ上値を伸ばせるか、「サマーラリー」につながるか試すことになるはずである。

  これまで「アベノミクス」の第1弾、第2弾、第3弾と打ち出されてきた成長戦略をもう一度、点検・確認してその有効性と訴求力によってメリハリをつけ、政策ウエイトや補助金配分も弾力化、つれて株式市場でも、政策関連のテーマ株の取捨選択が強まる相場シナリオが想定される。このシナリオに従って、原発再稼働を巡るエネルギー関連の電力株が浮上するのか、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加の「攻める農林水産業」関連株に再脚光が当たるのか、法人税引き下げ・投資減税の設備投資関連株が先取り買いされるのか、科学技術イノベーションの再生医療のiPS関連株が復活するのかなどなど、アンテナを広げることが必要不可欠となる。

  そこで、やや捻った政策テーマ株となるが、もう一度、「なでしこ銘柄」に注目してみたい。安倍晋三首相が、今年4月に「女性の活用は成長戦略の中核」として経済3団体に上場企業の役員に女性を1人登用することを要請した「女性の社会進出」関連株である。東証はこれに先立って、上場企業から女性社員を積極的に活用し、役員にも登用している企業を「なでしこ銘柄」として17社を選定した。また、経済産業省も、同様に多様な人材の能力を最大限に発揮させ企業のパフォーマンスにつながるガバナンスを行う「ダイバーシティ経営」に優れた企業を応募企業のなかから毎年100社選定して表彰する制度を続けている。

  本家本元のサッカーの女子日本代表「なでしこジャパン」は、韓国で始まった東アジア選手権の第1戦の対中国戦で幸先よく1勝を上げ3連覇に向け好スタートを切っており、「なでしこ銘柄」の上げ潮展開もサポートしてくれるかもしれない。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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