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ティア Research Memo(2):ドミナント戦略で店舗拡大、名古屋から関西、首都圏へ
*17:31JST ティア Research Memo(2):ドミナント戦略で店舗拡大、名古屋から関西、首都圏へ
■会社概要
(1)会社沿革
1997年7月に現代表取締役社長の冨安徳久氏が名古屋市内に葬祭施行を目的としてティア<2485>を設立した。設立当時、葬祭業界では葬儀価格が一般的に開示されておらず、利用者は葬儀社が提案する価格のまま葬儀を行うケースが大半であった。会社設立以前に葬儀社で勤務していた冨安氏は、こうした業界慣習に疑問を感じ、「顧客から感謝されるサービスを提供し、心から感謝されたい」との想いから、独立して起業することを決断したと言う。社長のこうした強い想いは、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」になるという会社の生涯スローガンとして表されている。
冨安氏が葬儀業界に身を投じた動機が、「学生時代に働いていたアルバイト先の葬儀社で、遺族の方に心から感謝をされていた社員の姿をみて、自分も人に感謝される人間になりたい」という強い想いであったことから、当時の業界慣習を打ち破り、もっと利用者に感謝される葬祭サービスを自ら提供したい、と思ったのは当然の成り行きと言えよう。
会社設立に当たっては、ある程度のまとまった資金が必要であったが、当初はなかなか出資者が集まらず苦労した。そうしたなかで、プロトコーポレーション<4298>の横山会長と出会う機会があり、同氏に会社設立の目的や将来ビジョンを訴えたところ、冨安氏の考えに共感し、個人的に出資を引き受けてもらうことになる。現在も同社の筆頭株主として出資比率42.75%を夢現(横山氏の財産保全会社)が、同4.82%を横山氏個人が保有しているのは、そうした経緯からである。
また、出資比率第2位となっている名古屋鉄道<9048>に関しては、会社設立2年目に、従来の慣習を打ち破る新たな葬祭サービスを提供する業界の異端児としてテレビで取り上げられた冨安氏のインタビュー番組をみていた当時の新規事業開発担当の役員が、これもまた冨安氏の考えに共感し、出資の運びとなった。当時はまだ会社設立して間もなく、資金繰りにも苦労していた時期であったが、名古屋鉄道が出資するということで信用度が増し、金融機関からの借入もスムーズに行えるようになった。同社にとって名古屋鉄道の出資は事業を拡大するうえで大きな転機になったと言える。
会社設立時に冨安氏は「中部東海エリアの葬祭業界で初の株式上場、将来的には葬祭業界で初の全国展開をする会社」を目標として掲げている。まずは、会社設立後10年間で20店舗、名古屋市内における市場シェアで11%を目標において、事業を展開していった。市場シェア11%というのは、当該地域で何らかの影響力を持つと言われるシェアの水準が10%以上ということで11%を目標に定め、そこから逆算し一会館当たりの年間の葬儀件数から、20店舗という数字を導き出している。ちなみに、実際には9年目に20店舗をクリアしている。出店計画を練るにあたって、損益分岐点として1カ月の取扱件数が低い店舗と、高い店舗でそれぞれ分岐点となる葬儀件数を設定し、地域における需要動向などを調査しながら、ドミナント展開で出店を拡大していくことになる。
設立当時は自前の会館が無かったため、近くの寺院を借りて葬儀を行っていたが、1998年1月に1号店「ティア中川」をオープンし、本格的に事業がスタートする。同社の特徴は、従来の葬儀社が病院営業(見込み客の紹介をしてもらう)を行っていたのに対し、地域営業を徹底して行ったことにある。
地域営業とは、店舗のエリア内にある町内会や自治会、企業が集まる商工会などを回り、ティアという社名や経営理念を覚えてもらうことだ。また、お祭りなどの地域行事があれば積極的に参加したりもした。葬儀社が営業開拓で地域の自治会などを積極的に回るということは、それまでは全くなかったことから、その効果が注目され、1店舗目をオープンして7カ月後くらいからは毎月の取扱件数で安定して20件を上回るようになった。東海地区における葬祭事業では業界大手である互助会の力が強い地域であっただけに、業界内では同社の成功が驚きをもって迎えられた。
もちろん、「葬儀費用の明瞭化、適正化」により葬儀価格を業界平均より低く抑えたこと、Webでの見積もり査定やチラシ広告への価格掲載など業界初となる試みを相次いで始めたことも顧客支持を集めた要因だが、価格だけ安くてもサービス内容が伴っていなければ長続きしないのは自明の理だ。そういう点で、同社の会員制度「ティアの会」への加入継続率が90%を超えており、今なお増え続けていることは同社のサービスが価格、内容ともに顧客から支持を集めていることの証左となる。
なお、ティアの会とは入会金10,000円を支払うと、(1)約50万円相当額の会員特典が受けられる、(2)掛金、年会費が一切不要、(3)即日入会が可能、(4)加入者以外でも家族、親族、友人の誰もが利用できる、(5)全国どこでも同社の会館があれば利用できる、(6)法要や香典返しでの会員価格適用、仏壇・仏具・墓石の割引制度−などが受けられる。親、配偶者、友人などを介した加入及び継続も多く、サービスへの満足度の高さがうかがえる。
店舗展開においては当時、葬儀業界ではまだ一般的ではなかったドミナント戦略を推進していった。特定地域への集中出店でシェアを高めていくドミナント戦略は、認知度がある程度上がっているため新規出店先における顧客の獲得が比較的容易で、店舗の早期収益化を図りやすい。同社では3kmを1店舗のエリア基準として2号店以降、出店を進めていく。2004年10月にはフランチャイズ事業も開始し、「ティア」の店舗数拡大とともにブランド力の向上にも注力していく。2013年3月末時点の店舗数は直営店が33店舗、フランチャイズ(FC)店舗が30店舗の合計63店舗で、2012年には埼玉県越谷市に直営店をオープンし、初の首都圏進出を果たしている。
株式上場に関しては2006年6月に名証セントレックスに上場後、2008年9月に名古屋証券取引所第二部に指定替えとなっている。首都圏への進出もスタートしたことから、今後は認知度の向上も狙って、2013年6月21日に東京証券取引所第二部への上場も果たした。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》
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