ムサシ Research Memo(10):国政選挙など特需に左右されない収益体質の構築を目指す

2013年7月10日 18:54

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記事提供元:フィスコ


*18:54JST ムサシ Research Memo(10):国政選挙など特需に左右されない収益体質の構築を目指す

■中期戦略

ムサシ<7521>は中期的な経営戦略として、業績が国政選挙などの特需によって左右されない収益体質の構築を目指しており、既存事業の拡大と同時に、新規事業並びに新商品の開発を強化していく方針を示している。また、経営指標としては売上高経常利益率を重視しており、特需が発生しない期においても経常利益率で3%以上の水準を達成していく考えだ。以下、主要事業における戦略についてみてみる。

○メディアコンバートサービス事業
前述したように2014年3月期は増収に転じる見通しで、今後も官公庁や地方自治体、図書館、医療施設など長期でデータを保存しておく必要があると思われる業界においては安定的に需要が出てくるものと期待される。また、官公庁の過去の公文書に関するデジタル化もまだ一部しか完了しておらず、潜在的な需要は極めて大きい。SI業者の参入など競争が以前に比べて激しくなっているものの、同社では高品質で、セキュリティ性の高いサービスを提供していくことと、長年取り扱っているマイクロフィルム撮影事業のノウハウを活かして他社との差別化を図り、収益を拡大していく方針だ。また、コスト競争力を強化するために、2012年4月に東京・豊洲に国内で最大規模となるイメージングセンターを開設しており、大規模プロジェクトに対応できるインフラも整えた。あとは官公庁の予算が動き始めるのを待つばかりとなっている。

○印刷システム機材事業
印刷システム機材においては、印刷市場がデジタル化の波により漸減傾向が続いている中で、有版システム(富士フイルム製デジタル製版機)、無版システム(富士ゼロックス製プリントオンデマンドシステム)両方の商品を供給できる富士フイルムグループの特約店という強みを活かしていく。印刷業界においてもデジタル化投資はほぼ終わっており、現在は更新需要が中心となっている。このため、同社は顧客へのソリューション力を強化し、市場シェアを拡大していくことによって、収益成長を進めていく方針だ。また、これまで手掛けていなかった「シール・ラベル印刷」や「パッケージ印刷」「サインディスプレイ」などのビジネス分野にも新たに進出し業績の拡大を図る。

○選挙システム機材
選挙システム機材については前述したように機器の製造販売だけでなく、自然に開く投票用紙や業務管理ソフト、選挙前のプロモーショングッズ、開票業務のサポートに至るまで、選挙業務全般にわたる総合サプライヤーとしての長年の蓄積が、現在の圧倒的シェア(80%)を形成している背景となっており、今後もその優位性は変わらないものとみられる。リスク要因として、選挙システムの変更によるリスク(インターネットシステムによる投票)が挙げられるが、日本においてはまだ安全性に対するリスクが払拭されておらず、しばらくは投票用紙を用いる現在の投開票システムが継続していくものとみられている。

システム機材の開発においては、処理スピードの高速化が求められており、また、投票用紙読取分類機においてはスピードだけでなく、文字の読取精度も重要なポイントとなっている。分類機で文字が認識できなかった投票用紙は、目視で確認する格好となるが、同社のモデルは読取不能率が低いというデータ結果がでており、同社製品の性能の高さが裏付けられている。ユーザーにとっては機材の更新にあたっては、いかに省力化を図ることができるかが重要なポイントになっている。

そうした点において、同社が2013年6月に発売した投票用紙読取分類機の「天地表裏反転ユニット」は注目される。2010年に発売した2世代目の投票用紙読取分類機「テラックCRS-VA」のオプション装置として開発されたものだ。投票用紙の向きを同一方向に揃える機能を持つ。従来は投票用紙を分類するが向きを揃える機能はなかった。開票作業では分類機で候補者ごとに分けられた後、投票用紙を再度、目視で確認する「内容点検」という工程がある。この工程において、投票用紙の方向が揃っていれば作業時間の大幅な短縮に繋がるというわけだ。同社の試算によると新ユニットを使った場合、一定時間内の処理枚数が従来と比較して約7倍に向上するという。開票時間の大幅短縮及び人件費の削減に繋がるだけに、導入するメリットは大きいと言えよう。

同ユニットの標準価格は110万円で、同社では初年度で500台以上の販売目標を立てている。接続する分類機「テラックCRS-VA」(本体価格270万円)の累計販売台数は1,000台。2001年に発売した初代機である「テラックCRS9」は導入から10年以上が経過したものもあり、今回の新ユニット追加によってリプレース需要が発生する可能性もある。また、分類機を導入せず、仕分け工程を全て手作業で行っている自治体も4割程度あるとみられ、潜在的な需要はまだ大きい。

国政選挙と言うサイクルがあるものの、中長期的に見れば投開票システムの自動化、省力化に対するニーズはまだまだ大きく、同社でも更なる高速化、高精度化を目指した開発を推進し売上げ拡大を進めていく方針だ。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)《FA》

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