【アナリスト水田雅展の相場展望】日経平均株価1万4000円台固め、急ピッチの上昇で利益確定売り出やすい

2013年7月7日 09:00

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■相場展望(7月8日~12日)

  来週(7月8日~12日)の株式市場は、日経平均株価1万4000円台固めの展開を想定する。足元の急ピッチの上昇で当面の利益を確定する動きも出やすい状況だが、投資マインド改善が顕著であり、1万4000円台を固めながら1万5000円台を試しに行く可能性もありそうだ。

  前週末5日の米6月雇用統計と米国市場の反応を好感して、週前半は買い安心感が広がるだろう。週後半には10日~11日の日銀金融政策決定会合が焦点となるが、現状の金融政策に変更はなく、前回会合では見送られた債券市場の安定化に向けた対応策が打ち出されるかどうかが注目点だろう。

  また週末からの3連休(13日~15日)と、3連休明け16日に東証と大証の現物株市場統合を控えている。日経平均株価が直近安値の6月26日終値1万2834円01銭から7月5日終値1万4309円97銭まで、7営業日で1475円96銭(11.50%)上昇したこともあり、当面の利益を確定する動きも出やすい状況だろう。

  ただし、日本株の上昇相場第2波に向けた流れに変化はないだろう。米国の量的緩和策縮小や中国の短期金融市場の流動性逼迫問題に対する警戒感は後退している。エジプトの政変やポルトガルの金利上昇に対する警戒感も限定的だった。

  そして注目された前週末5日の米6月雇用統計で、失業率は7.6%で前月比横ばいだが、非農業部門雇用者数は前月比19万5000人増加となり、市場予想の16万5000人増加を上回った。また4月は14万9000人から19万9000人、5月は17万5000人から19万5000人に、それぞれ上方修正された。雇用の着実な回復を確認した形だ。

  この結果を受けて、米FRB(連邦準備制度理事会)が年内に量的緩和策縮小に着手する方針を裏付けたとして、債券市場では米国10年債利回りが11年8月以来の2.7%台に上昇し、外国為替市場ではドル・円相場が1ドル=101円台前半までドル高・円安方向に傾き、株式市場ではニューヨークダウ工業株30種平均株価が前日比147ドル29セント上昇した。量的緩和策縮小を嫌気する動きではなく、景気回復に向けた期待感が優勢になった。米国市場は金融相場から業績相場へのシフトが進み始めたようだ。

  日本株にとって円安・米国株高という理想的な形になったことに加えて、7月21日投開票の参院選に関する主要メディアの世論調査(4日~5日調査)の結果で、自民党・公明党による過半数獲得がほぼ確実な情勢との報道が相次いでいる。参院選後の「衆参ねじれ解消」した安定政権下で、成長戦略の迅速な実行に対する期待感、岩盤に切り込む大胆な規制改革に対する期待感を強めるだろう。日本株は5月23日に始まった日柄整理局面が想定より早く終了して上昇相場第2波がスタートしそうだ。

  その他の注目スケジュールとしては8日の日本5月経常収支、日本6月景気ウォッチャー調査、ユーロ圏財務相会合、ドラギECB総裁の欧州議会証言、米5月消費者信用残高、8日~12日の米中戦略・経済対話、9日の日本6月マネーストック、中国6月PPI・CPI、EU財務相理事会、10日の日本6月企業物価指数、日本6月消費動向調査、中国6月貿易統計、米5月卸売在庫、米FOMC6月18日~19日開催分議事録公表、バーナンキ米FRB議長の講演、11日の日本5月機械受注、米6月輸出入物価、米6月財政収支、12日のユーロ圏5月鉱工業生産、米6月卸売物価指数、米7月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値などがあるだろう。

  その後は15日の中国6月鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資、中国第2四半期GDP、17日~18日のバーナンキ米FRB議長の議会証言、19日~20日のG20財務相・中央銀行総裁会議、30日~31日の米FOMCなどが予定されている。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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