【話題】米国新車販売好調の深層

2013年7月4日 09:31

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■6年ぶり高水準、米ビッグ・スリーのシェア拡大、日系は低下

  米調査会社オートモティブによると、13年上半期(1月~6月)の米国の新車販売台数は前年同期比7.7%増の782万9141台だった。上半期としては07年以来6年ぶりの高水準となった。6月単月の販売台数を年間販売台数に換算すると1596万台となり、08年秋に発生したリーマン・ショック前の概ね年間1600万台の水準に回復したことになる。

  上半期の販売台数を車種別にみると、日系自動車メーカーが強みを持つ低燃費の小型車中心の乗用車が同4.5%増にとどまったのに対して、米ビッグ・スリーが強みを持つ大型車中心の小型トラックが同11.2%増となった。特にピックアップトラックが同15.1%増と大幅に増加した。この結果、米ビッグ・スリーの市場シェアが上昇し、日系自動車メーカーの市場シェアが低下した。

  米国自動車市場の好調、特にピックアップトラックなど大型車の好調の背景には、低金利ローンや景気回復に伴う消費者マインド改善などを背景として、リーマン・ショックで先送りした買い替え需要が本格化していることがあり、さらに「シェール革命」で中期的に原油価格の下落が予想されることも、大型車の好調に繋がっている。

  燃費の悪い大型車の好調、そして米ビッグ・スリーの好調という現象を見ると、強い米国経済の復活という印象が強まる。特に「シェール革命」効果は大型車の好調にとどまらず、製造業の米国内シフトやエネルギー輸出国への転換などにも波及して、米国経済を大きく押し上げると予想されている。

  一方では、日系自動車メーカーの市場シェア低下をネガティブ要因とする見方もあるようだが、日系自動車メーカーも着実に販売台数を増やしている。円安進行に伴う輸出採算改善も期待される。開発を急いでいる燃料電池自動車が商業ベースに乗るのは当分先だが、将来的には日系自動車メーカーが強みを持つエコカーへのシフトは避けられないだろう。日系自動車メーカーが米国市場で低迷する構造的な要因は見当たらない。そして日系自動車メーカーにとどまらず、米国経済への依存度の高い日本企業にとって、強い米国経済復活の恩恵は大きい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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