『BRICs天井打ち』、『アメリカ高値波乱』、『日本押し目買い』を確認する相場へ=犬丸正寛の相場展望

2013年6月28日 16:50

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  『株主総会前は高い』というジンクス通り、6月末の相場は引き締まった展開となった。今後は、後半相場の最大のイベントである「参議院選挙」を意識し、選挙後のシナリオを描く展開に移るものとみられる。

  日経平均は6月13日に瞬間、1万2415円と下げた。しかし、6月上旬からの動きでは、ほぼ1万3000円を挟んだモミ合いが続き、株主総会集中の6月末に向けて強くなり、28日には5月高値(1万5942円=場中値)から6月13日安値までの下げ幅に対する「3分の1戻し」を達成した。次は、「半値戻し」の1万4200円ていどが目処となるだろう。

  外部材料ではアメリカの金融緩和終了見通しに加え、ここに来てBRICsといわれる中国など新興国の「経済減速・株価下落・デモ」などが相次いで伝えられている。新興国はこれまでの高成長で人々は豊かさの味を覚えたことから、経済減速と格差拡大に不満を強めている。日本が昭和40年当時、学生運動などを経験したのと似ている。日本は持ち前の勤勉さで底力を発揮し真の豊かさを身につけたが、果たして、中国など新興国が今後どのように苦難を乗り越えていくか注目される。

  既に、世界マネーは経済停滞と社会不安を嫌って新興国から逃げ出している。労働賃金が高騰していることから外資企業の新興国への進出もひところに比べ勢いは薄らいでいるようだ。もちろん、新興国への魅力がなくなっているわけではない。新興国は多くの人口を持ち、引き続き消費地としての魅力はあるものの、その前に通らなくてはいけない試練が待ち構えているということである。

  しかも、欧州経済の実態は悪いままである。世界で残るのはアメリカと日本ということになる。とくに、日本は東日本大震災を乗り越えようとしているしアベノミクス効果で経済は本格的に上向く方向にある。さらに、先の都議選では自民・公明の保守が大勝利した。7月の参議院選挙でも有利が予想され勝利すれば、これまで不安定だった日本の政治に安定感が増す。外国人投資家の日本を見る目は変わってくるだろう。そのことは同時にアベノミクスを本格的に支持し中長期スタンスで効果を期待することでもある。

  こうしたことを総合して相場的に言うと、『BRICsは天井打ち』、『アメリカは高値波乱』、そして、『日本は押し目買い』と、みることができるだろう。とくに、ドルが世界に拡散されてきた「金融相場」では内容よりゲーム感覚が優先したが、ドル縮小から今後は国家や企業の実力を吟味する「業績相場」に移っていくものとみられる。

  実力&業績相場ということになれば、日本の実力を凝縮した存在のトヨタ自動車ということになるだろう。参議院選挙後は自民・公明が勝利し参議院でのネジレが解消されるなら、先ずはトヨタ株価はリーマンショック直前につけた高値8350円挑戦に向けた展開に入っていくものとみられる。

  日経平均の半値戻しの1万4200円水準は週足の13週線が位置する水準でもある。外国人投資家が大きく買い越してくれば別だが、今ていどの売買高や売買金額では一気に半値戻しを達成し、そのまま上値を追うことは難しいだろう。例年、株主総会後は一服となっているため、今後は下値26週線と上値13週線との間のモミ合いに移っていくものとみられる。もちろん、『日本株の押し目買い』ということではなんら変わりはない。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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