アールシーコアCORPORATE RESEARCH(9/16):年間受注棟数は実質過去最高を更新中【1】

2013年6月21日 18:49

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記事提供元:フィスコ


*18:49JST アールシーコアCORPORATE RESEARCH(9/16):年間受注棟数は実質過去最高を更新中【1】

■KEYWORDS 1 : BESS事業

前段では開示セグメント別に詳述したが、いずれも商品としてはほとんどがBESS事業に相当している。ここでは、開示セグメントとは一線を引き、最重要商品であるBESS事業について再度まとめてみる。自然派個性住宅を供給するBESS事業の特徴は、大きく次の4点に集約できる。すなわち、「感性マーケティング」、単独展示場、保証制度、価格体系、である。なお、感性マーケティングに関しては詳述をKEYWORDS2に譲り、ここでは概況及びシステムを詳述する。


◆感性マーケッティングで「都市型スローライフ」を強調

現在、アールシーコア<7837>が提供している自然派個性住宅(BESS商品)は大きく6シリーズ。うち、国内トップシェアを誇るログハウスが3シリーズ、その他の自然派個性住宅(同社はエポックスと表示)が3シリーズ、である。ログハウス専門のように認識される傾向があるが実態は非ログハウスが非常に充実しており、近年では住宅一時取得層からの需要増加もあって、現在の受注内訳はエポックスが53%、ログハウスが47%という割合にある。

同社は1989年から非ログハウスの販売を早くも開始しており、その後、「都市型スローライフ」をコンセプトとしたエポックス商品を続々と投入。別荘需要中心であったログハウスの自宅利用の開拓を併せ、都心の住宅街でも違和感のない商品を打ち出すことによって住宅取得需要を取り込むことに成功している。シリーズ別にみると、現在、最も売れ筋なのは非ログハウスの「ワンダーデバイス」である(ログハウスの定番である「カントリーログハウス」は売れ筋としては第二位)。確かにかつては「ログハウスの会社」ではあったが、現在は「ログハウスも手掛ける自然派個性住宅の会社」への転身が着実に行われている。


◆年間受注棟数は実質過去最高を更新中

BESS商品の年間受注棟数は、2012年度実績で1,023棟。リーマンショック後からは着実に回復軌道を辿り、ピークとなった2005年度の965棟(一時期に手掛けた倉庫用小規模ログハウスを含むベース。現在と同一基準では878棟)を遂に更新することとなった。ちなみに、2005年時点ではログハウスが全体の70%超を占めていたのに対し、2012年度のログハウス比率は47%。この変化を見れば、この間に同社が大きく商品構成を変えてきていることがここからもよくわかる。実際、2005年度を起点とすると、エポックスの年間受注棟数はおよそ倍増しているのに対し、ログハウスの年間受注棟数は30%減少している。

◆単独展示場戦略で潜在顧客を絞り込み、営業員一人当たりの成約棟数は業界平均の約倍を達成

販売活動の出発点にあるのがBESSの単独展示場。すべてBESS商品が立ち並ぶ中で比較する機会を消費者に提供している。各社商品が混在する他の合同展示場と異なるのは、(1)BESS商品に興味を持った消費者のみをターゲットにできる、(2)他社商品との比較において価格やマンパワーで競争することなく、商品本来の魅力を訴えることができる、(3)それらの結果、成約に至るまでのコストは単独展示場方式の方が実は効率的である、という点。実際、営業員1人当たりの成約棟数は2012年度平均で年間7.9棟となっており、これは同社がベンチマークとしている業界平均(4.6棟:住宅産業研究所調べ。2011年、注文住宅大手20社の営業員一人当たりの年間販売棟数)を大きく上回っている。

特に、個性住宅を謳う以上、単独展示場であることのメリットは大きい。そこへの訪問者、特にリピーターは同社商品の個性を積極的に容認している(一種の「ファン」となっている)可能性が大きく、結果としてそのままBESS商品を発注する傾向が高まるためである。合同展示場であれば、確かに潜在需要者を幅広く集客できるメリットはあるものの、その幅広さから成約に至るまでの効率性は大きく低下してしまいかねない。単独展示場は、個性住宅に興味を持つ層をある程度絞り込む機能を果たしているといえよう。


◆新規訪問客における成約率も業界平均を大きく上回る

これも同社の実績から十分推察できる。年間成約件数を展示場への新規訪問組数で除した成約率は2012年度で4.4%。過去10年を見ても、4~5%で安定している。やや古いが、日経産業新聞によると通常の成約率はおおよそ3%程度との指摘もあることを考えれば(2001年7月)、成約率はかなり高い(効率が良い)ということができよう。また、絶対数で見た新規訪問者数も、リーマンショック時を底に回復基調は鮮明である。新規訪問組の4~5%が安定的に成約者になっていると考えれば、新規訪問組の増加こそが事業の成長に必要不可欠なエンジンであるとも言える。2008年度以降の新規訪問者数の増加傾向が後々の収益拡大に繋がるという良い回転ができつつある。


◆新規来訪者、リピーターの動向は、同社の今後を示唆する重要な先行指標

ちなみにリーマンショックは2008年だが、実はそれ以前の時点で既に、リピーター、新規者数、いずれも一旦ピークアウトとなっている。前段でも触れたが、これは広告宣伝費用を販社が絞ったことが主因。すでにファンとなっている層はリピーターとして展示場を訪れてはいたものの、未だそこまで気持ちの盛り上がっていない新規来訪者の取り込みには至らず、結果として「購買予備群」となる新規訪問者、延いてはリピーターの数を減らしてしまうこととなった。地価がミニバブル状態にあったために、新規訪問者層は減少し始めていたが、本来はその減速を補うはずのリピーターまでも減少したことで、その後の低迷を招いてしまったとも言える。リーマンショックを待たずして受注棟数は2005年にピークアウトしていたという事実は、この新規来訪者の漸減傾向に加え、リピーターの減速をセットで見れば、事前に想像がついていたかもしれない。結果論かもしれないが、同社の今後を占ううえでこの2つの動向は非常に重要な先行指標になると判断できるだろう。


◆十分な商品ラインナップが単独展示場を可能に

では、それだけ単独展示場のメリットがあるにもかかわらず、それでも多くのハウスメーカーが合同展示場を使っているのは何故か。実際、単独で展示場展開をしている企業はむしろ限定的なのである。これは単独で運営していくには、それだけの資本力と商品の十分な品揃えが必要不可欠であるために他ならない。同社は地区販社制度を活用し、単独展示場も地区販社に設置を委託。アールシーコア本体では資金負担を回避したうえで、商品企画に集中するシステムでこの問題を解消している。

特に品揃えは重要であると言える。そもそも単独展示場では、個々のモデルハウスに相当の個性を際立たせなければ、「どれも似たようなもの」といった印象を訪問客も持たれてしまいかねない。しかし現実には、他メーカーとの比較では特色を示すことができるものの、同一メーカー内での商品ラインナップにはそれほど大きな差はなく。オプションや機能差などの変化にとどまっているケースが多い。少なくない企業は各ラインナップにそこまでの個性を持たせることができていないため、他社モデルとの比較で個性を主張できる合同展示場をむしろ指向しているのが実態であろう。そういった観点では、6シリーズもの個性住宅を抱える同社だからこそ、単独展示場戦略が機能しているのだとも位置づけられる。これだけを見ても、業界では独自の展開を実施していることがうかがえるのである。


株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング
長井 亨《FA》

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