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*18:50JST アールシーコアCORPORATE RESEARCH(9/16):年間受注棟数は実質過去最高を更新中【2】
■KEYWORDS 1 : BESS事業
◆保証制度で消費者の不安を軽減
ただし、どうしても解消できないものがある。「歴史」である。同社は1986年から住宅業界に参入しているが、老舗が犇めく競合他社との比較においては明らかに後発組に位置する。何十年という使用を想定する住宅において、企業の歴史が浅いことは「信頼性」という視点でどうしても老舗の後塵を拝さざるを得ない。如何に消費者がBESS商品を気に入っても、何十年も使用するだろう住宅に「信頼性」が伴わなければなかなか選択肢となってはくれまい。現実問題としてこれには特効薬はなく、地道に実績を積み上げていくしかないのが実情である。
◆業界では画期的な「50年保証」、「完成保証」に続き・・・
これに対応するため、同社は1996年に早くも「保証制度」をスタート。これにより、「信頼性を図るには歴史が浅い」という後発組のデメリットを少しでも緩和させ、信頼度を早く高める努力を始めている。現在は、責任施工に対しては構造躯体に「50年保証」を、施工工事を確実にするためには「完成保証」を、それぞれ用意している。中でも完成保証は画期的であり、施工業者にトラブルがあって工事が中断した場合でも、BESS共済会によって工事を完成させるというものとなる。通常、そういった場合は金銭補償が一般的ではあるが、(1)お金をもらっても、消費者は家が完成していないことにはどうしようもない、(2)施工工事の継続をしてくれる業者を消費者が自身で見つけてこなければならない、(3)後継工事費用が補償金の上限を越えた場合は、消費者の持ち出しとなってしまう、というリスクがつきまとう。現実には、(3)のケースが決して少なくないとの声もある。これに対し、同社は自社の責任で完成させることを保証しており、消費者にとっては金銭補償よりも遥かに利便性の高い保証制度を提供している。
◆・・・エスクロー制度も逸早く導入
さらに、2012年度からは中期経営計画の一環としてエスクロー制度(取引の安全確保のために第三者を介在させる仕組み)を導入。消費者は工事請負契約代金を中立の第三者信託口座に預託する方式を採ることになる。これにより、工事途中に元請会社で何らかのトラブルが発生しても過払いすることはなく、未着工部分に相当する代金は保護されることが可能となる(工事進捗に併せて第三者口座から元請会社に代金が支払われる)。これも「歴史のない」会社に高い金額を支払う消費者にとっては大きな安心材料となることは間違いないだろう。ちなみに、全件対象でのエスクロー制度導入は、住宅業界では初の試みである。
当然、アールシーコアがこれらを保証する負担は小さなものではない。管理委託手数料が恒常的に発生するのに加え、財務状況でも触れたが、エスクロー制度導入で資金余裕度はかなり低下を余儀なくされてもいる。しかし、それ以上に顧客からの信頼を獲得し、「歴史」という弱点を緩和させ、結果としてビジネスを拡大できれば、それらの負担もカバーできる。これら長期的視点に基づいた布石は、同社の標榜する「農耕型」ビジネスならではの特色であるといえよう。
◆価格体系には業界でも極めて稀なカタログ販売方式を導入
上記の特性を活かしたうえで、消費者への訴求力を一段と高めているのが、明確に表示された価格体系である。一般に、住宅建設は当初概算時点の価格と、見積もり、さらには工事途中の仕様変更などを経た最終的な価格とで大きな格差が開いてしまう例が非常に多い。既に高い信頼を得ている老舗企業の設計施工であっても、最終的な価格は概算当初からかなり変動してしまうのが実情であった。当然、これは消費者にとって住宅購入を躊躇させる一因となっている。
後発である同社は標準価格をカタログで明示することで、この消費者の抱える「価格への不安」を一掃させることを狙いとしている。このカタログ販売システムは住宅業界ではこれまでなかった手法。経営陣が住宅業界出身でなかったこともあり、従来の慣行や常識に囚われることなく、消費者視点の価格システム導入に踏み切れている。もちろんこれは、従来型住宅メーカーのように細部の機能に拘るのではなく、全体の雰囲気を予めコーディネートしたキットの企画型商品だからこそ、可能であったと言えるもの。換言すれば、競合他社が容易に追随できない強みとなっている。
株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング
長井 亨《FA》
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