アールシーコアCORPORATE RESEARCH(15/16):中期的な課題は感性マーケティングそのもの【1】

2013年6月21日 19:01

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記事提供元:フィスコ


*19:01JST アールシーコアCORPORATE RESEARCH(15/16):中期的な課題は感性マーケティングそのもの【1】

■今後の課題と注目点

◆今後の経営課題は4点

ただし、将来的な経営課題も徐々に浮彫りとなってきている。特にここでは、(1)施工工事、(2)サービスラインナップ、(3)感性マーケティング、(4)ポスト中期計画、の4点を挙げる。


◆喫緊の課題は施工工事。契約残高の急増で工事が追い付かないリスク

施工工事は、喫緊の経営課題と言えよう。BESS商品契約残高の推移をみると、2013年3月末時点での繰越契約残高は60億円。これまで最高であった2006年3月末の51億円を大きく超える規模となっている。これは成約棟数の急拡大があったため。当然ながら、契約残が増えることは喜ばしいことである。しかし、あまりに契約残高が膨らんでくると、順番待ちとなった施工工事はどんどん後ろ倒しとなってしまい、顧客は納期の遅れを懸念することになりかねない。契約と施工・完成に相当のタイムラグが生じることとなれば、将来はそれを待てない顧客からの成約を逸してしまう可能性もあろう。うれしい悲鳴とも言える状況ながら、これへの対応はかなり急を要するものと思われる。


◆しかし、建設従事者の需給タイトは続く。対応を急ぐ必要はあるものの、コスト急上昇を招かないための慎重な采配もまた求められる

しかも、施工工事量を急拡大させることには困難が伴う。それは、東日本大震災の復興需要もあり、建設従事者の需給がかなりタイトな状態となっているため。少なくともこの傾向は、復興需要、および消費税引き上げ前の駆け込み需要が一巡するまでは大きく緩和しないと考えられる。一気に人を集めて施工量を増やすにはかなりのコストアップを覚悟する必要がある。対応を急ぐ必要はあるものの、コスト急上昇を招かないための慎重な采配もまた求められることとなろう。この問題を解決する特効薬はないが、既に同社では、(1)販社間での施工人材・工事の融通、(2)部材をプレ加工したキット化の促進、(3)多能工化の推奨・活用、を推進。対応策を打ちつつある。さらに、これらに加えて例えば「BESSマイスター」のような資格を設定し、施工においても人材を確保するといった対応策は検討に値すると考える。


◆契約残高急増は、2007年度と同様の事態を招きかねないことも要注意

なお、契約残高の急増が考えられる悪影響は、単に顧客の不満が予想されることに留まらない。過去を振り返ると、2006~2007年度に50億円超もの契約残を抱えた後、業績は大きく失速している。これは前段でも触れた通り、販社での広告宣伝が抑制された結果ではあったが、そもそも宣伝費抑制となった背景には、十分過ぎる手持ち契約があったことによる安心感と、実際にこれ以上の契約は受け難いという判断もあったものと推定される。「十分過ぎる」契約残の状態が継続すれば、今回も2007年度と同様の事態を招きかねないリスクがある。まさにこれは喫緊の課題であると位置付けられよう。


◆短期的な課題はサービスラインナップの拡充

サービスラインナップは、短期的な経営課題と位置づける。そもそも、同社がビジネスを拡大させるための方策は、展示場への新規来場者数を増やし、かつ成約率を上昇させる、という2点に尽きる。来場者数拡大は拠点数増などである程度は能動的な対応が可能だが、成約率はタイミングや顧客の資金状況などもあり、どうしても受動的とならざるを得ない部分が大きい。そのため、前段でも触れた通り、営業効率の改善を進めるとしても、成約率の引き上げのハードルはかなり高いのが現実となっている。このことは、営業員の増加・質の向上以外にも、成約率上昇に向けて何等かの対応策を考える必要があることを示している。ここではその具体的な対応例として、サービスラインナップを挙げる。


◆営業員増強は商談に漕ぎ着ける件数の増加を狙ったもの。とすれば、商談開始後の成約率引上げを狙う追加的な対応策があってもおかしくない

アールシーコア<7837>自身の調査によると、成約数を商談に入った総件数で除した実商談成約率はおよそ67%(2012年度見込み)。これは業界平均で見るとかなり高い水準にあると思われる。過去3年間、ほぼこの水準を維持していることを考えれば、如何に同社の商品競争力が高く、顧客も「好き」になっているかがうかがえる。このことは感性マーケティングがうまく機能していることの証左でもあろう。しかし、換言すれば、30%の商談は断念、もしくは他社に流れたということでもある。ここに工夫の余地はないか。営業員増強が商談に漕ぎ着ける件数の増加を狙ったものだとすれば、商談開始後の成約率引上げを狙う追加的な対応策があってもおかしくはあるまい。ここに焦点を当てたサービスの拡充はこれまでほとんど手つかずの状態にある。


◆計画断念の主因は資金計画と土地の確保

アールシーコアによると、商談未成立となった30%の内訳は、他社に決定した比率が10%pt以下、残りの20%pt超は計画そのものの断念であるとしている。計画断念の理由は様々ではあるものの、資金的な問題、土地確保の問題、の2つが主たるものと想像される。これらは致し方ないことではあるものの、この断念理由を緩和させるサービスを提供できれば、実商談比率を一段と改善させる可能性があるのではないか、と考えるのである。例えば、この計画断念分のうち、25%を拾い上げることができれば、年間受注棟数は7%上乗せされることになる。


◆営業員のスキルに任されていた分野に積極的に関与する方法はないか

もちろん、アールシーコアが独自で土地や資金の問題を解決できるものではない。しかし、不動産会社との提携や住宅ローンサポートなど、これまでは営業員のスキルに任されていた分野に積極的に関与することは可能だろう。土地確保に関しては、既に地区販社などで地元不動産会社と独自に提携している例もあると思われるが、その規模を拡大することで顧客にメリットのある新たな切り口も提示できる可能性は増すと考える。住宅ローンに関しても、ローンの返済シミュレーションの提示などにとどまらず、ローン審査などへのより具体的なアドバイスやサポートへの需要は大きいと思われる。そういったサービスラインナップの拡充は、事業拡大は展示場次第、営業員次第といった現状に(商品競争力は既にある)、もう一枚の能動的なカードを加えることに繋がると位置づける。


◆既存シリーズのテコ入れ、あるいは中古市場の確立も一手のはず

また、そもそもはより魅力的な個性住宅の提供が、ビジネス拡大への重要なサービスラインナップであることも明らか。既に個性的な6シリーズを擁してはいるものの、見込みと実際の売れ筋とに乖離がある場合、それらシリーズの統廃合、あるいはモデルチェンジ、などが顧客訴求度向上に向けての一手となってくる可能性もまた十分高いと思われよう。同時に、これは対象物件が少ないために短期では対応できないものの、BESS商品の中古流通市場確立もサービスラインナップ拡充に貢献すると思われる。通常、住宅は経年劣化するものながら、ログを基本としたBESSでは経年によって生じる味わいがむしろ評価される傾向がある。これは資産価格が保持されやすいということ。中古市場において実際に価値の減耗が大きくないことの事例を示すことができれば、高い買い物へのふんぎりがつく顧客層は確かにあると思われよう。

株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング
長井 亨《FA》

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