ハシゴを外された投資家は6~7月の政治イベントに合わせて選挙関連株でゲリラ対応=浅妻昭治

2013年6月17日 09:39

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

 「政権交代前の株価水準から1万2000円台まで5割戻しているのだから、文句はあるまい」とはよく言ってくれたものだ。相変わらずの上から目線である。麻生財務大臣の記者会見での発言である。「アベノミクス」に「リスクオン」して日経平均株価の1万5942円まで買い上がった投資家たちに対して、ハシゴを外す結果になっているのにもお気付きでないらしい。為政者としては、民の竈から煙が立ち昇っているのかいないのか見定めてもらいたいものである。

 ハシゴを外された気分になっているのは、兜町の投資家だけではない。企業経営者だって、きっと危ういところで踏み止まれたとホッとしているに違いない。3月期決算を発表した今年5月初めには、為替レートは、1ドル=101~102円台の円安・ドル高水準にあった。だから今期の想定為替レートを1ドル=90~95円として、余裕を持って企業業績の黒字転換・大幅増益転換を予想したのである。それが、1ドル=95円台を割って93円台まで円高が進んだ。

 7~8月の今期第1四半期(1Q)決算の発表時には、上方修正をしようとしていた目算は大きく狂ったはずだ。いや1Q決算発表時の上方修正後に為替相場のこんな揺り戻しに直撃されなくてよかったと胸を撫で下ろしているかもしれない。うかうかと上方修正してしまったあとでは、まさにハシゴを外されることになったからだ。安倍首相は、成長戦略の第4弾とか第5弾とかで投資減税を実施し、企業の設備投資の大幅加速を促すと伝えられているが、この太鼓や笛にどの程度の踊り手が参加するのか見物である。相場的にも、1Q決算発表とともにスタートするとみられていた業績相場は、まず期待する方が無理ということになりそうだ。

 今週は、18~19日にFRB(米連邦準備理事会)のFOFC(公開市場委員会)が、開催される。ここで現状維持がアナウンスなれるなら問題がないが、もし、量的緩和策の縮小が示唆されるようなら為替も株価も、もう一波乱も二波乱も免れない。そのときになって安倍首相も麻生財務相、黒田日銀総裁も、緊急市場対策を打ち出せないようなら、為替レートは、90円台を割って政権交代前の水準を覗き、株価も、もしかしたら1万円台を試す展開にならないとも限らない。緊急市場対策のタマがないなら、「日本経済は順調な回復の道を辿っている」などとの紋切り型でない、もっとマシな「口先介入」のコメントを用意して置いてもらいたいものである。

 ハシゴを外された投資家は、下を見ただけで足が竦み、命が縮み上がる。しかし、政治家だって選挙が怖いはずだ。「サルは木から落ちてもサルだが、国会議員は、選挙に落ちたらタダの人」といわれているからだ。東京都議会議員選挙がスタートして、7月には参議院選挙が迫っている。第1次安倍政権以来これまでの経験則から、日経平均株価が、1000円幅上下すると内閣支持率は、10%変動するという計算式が成立するようになっている。株価が、これ以上下ぶれたりすれば、この都議会議員選挙も参議院選挙も、「アベノミクス」への信任投票の色彩を帯びてくるはずだ。「市場の反乱」が起こったりすれば、いまはまだ野党が政権与党への攻め口を欠いているからいいようなものの、事と次第によっては「有権者の反乱」に板挟みされる股裂きにも遭い兼ねない。

 ということで、今週の相場も、IPO(新規株式公開)バブル中心となるはずだが、生憎とIPOは、6月26日上場のリプロセル <4978> (JQG)まで2週間のご無沙汰となるだけに、ここは、視点を少しズラして6~7月の政治イベントに注目して、選挙関連銘柄にアプローチして材料株のゲリラ相場を乗り切りたい。緊急市場対策は望み薄でも、選挙対策におさおさ怠りはないはずで、ネット選挙関連株、オールド選挙関連株を問わず網を広げておきたい。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【話題】日経平均800円安の犯人は円高・ロールバック・狼狽心理を突く売り叩き(2013/06/13)
【話題】急落相場を売方&買方の心理で読み解く(2013/06/13)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事