日経平均はほぼ東日本大震災並みの下げ率で下値水準に=犬丸正寛の相場展望

2013年6月14日 16:34

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■秋相場まで出来高細ることも

  マーケットは大きく揺れ動いている。上げも迫力があったが、それ以上に下げの凄さがある。それを現しているのが日経平均の1日当変動幅である。

  昨年11月の8653円から今年5月23日の高値1万5942円までの上げ幅は約7300円、これに対し高値から6月13日の直近安値1万4215円までの下げ幅は約3500円である。値幅を見ただけでは、上げ幅が多いといえるものの、これをそれぞれの営業日数で1日当平均に置き換えと様子は変わってくる。

  上げ相場の過程では1日平均の幅は約60円であるのに対し、下げ過程の1日平均の幅は約230円と、上げの1日平均に対し4倍近くに達している。このことから、いえることは、(1)市場参加者が短期間のうちに一気に弱気に転じた、(2)相場の調整としては男性的な値幅整理だった――とみることができる。

  かつての相場においても、「何々ショック」と呼ばれる男性型の短期急落は幾度も経験している。共通しているのは、強気充満に近いマーケット状態において思いがけない材料が出た場合にみられる。今回は、アベノミクスに対する期待の高まりで買い安心感が充満していた点はほぼ従来と同じだろう。ただ、今回はとくに悪材料が出た、ということではなかった点に今までと違うところがある。こういった前提で今後を見通すとどういうことになるか。

  最近での大きい下げが参考になるはずである。2011年3月の東日本大震災では高値からボトムまでの下落率は約24%だった。リーマンショックの時は約52%の大きい下げだった。

  そして、今回の下落率は22%超に達している。今回の下げをリーマンショック並みとみるか、東日本大震災並みとみるかによって見方は当然、分かれる。筆者は今回の下げは東日本大震災に近い下げではないかとみている。外国人投資家が日本株を売ったということではグローバル的な要因を含んでいるともいえるが、それ以上に国内投資家が買い安心になりすぎていたということから東日本大震災型の国内的材料による下げだったと思われる。

  そういう前提に立てば、現在の下落率22%は東日本大震災の下落率24%に対比すれば、そろそろ下値水準に来ているとみることができるのではなかろうか。とくに、期待されたほど円安に進んでいないとしても、昨年秋からの円安効果で企業業績は間違いなく上向いている。『企業業績が上向いているときには相場はいつまで下げ続けることはない』という教えもあり、そろそろ相場は下値水準に到達とみて、とくに、これまで買いそびれていた人には好い買い場到来とみられる。

  なお、これだけ、大きく下げた相場だから、何かネーミングを付けたいところだが、なかなかピッタリした言葉がない。強いて言うと、安倍政権が参議院選挙を意識するあまり、一度にテーブルへご馳走を並べすぎた反動ということで、「急性胃炎ショック」とでも言いたいところである。

  そして、過去のショック安でボトムをつけたあとの展開をみると、売り一巡から出来高が少なくなる閑散相場がしばらく続いている。今回も外国人投資家の夏休み等を考えると、徐々に出来高は少なくなり、下値を固めながら秋相場を迎えることになるのではなかろうか。当面は下げの大きかった銘柄の戻り狙いから、その後、夏場に活躍の材料株中心の展開に移っていくものとみられる。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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