スターティア Research Memo(9):立て続けにアジアでの拠点を構築し展開力を強化

2013年6月13日 19:39

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記事提供元:フィスコ


*19:39JST スターティア Research Memo(9):立て続けにアジアでの拠点を構築し展開力を強化

■2014年3月期の見通し

(イ)アジア市場への進出


スターティア<3393>は国内のみならずアジア市場への布石を着々と打っている。2013年3月には「スターティア上海」を設立し100%子会社でスタートした。ネットワーク機器の販売、通信ネットワークのインフラ構築を行う計画で営業を開始した。


これと並行して2013年5月には、設立6年目の台湾「ホーマデジタル」に約40%の出資を行うことを発表した。2013年6月に株式を取得し、台湾で官庁、学校、出版会社向けに電子ブック「Digit@Link ActiBook」の制作・販売を行う。「ホーマデジタル」は台湾ですでに300-400社への「Digit@Link ActiBook」の販売実績を持っており、今回の資本参加によって連携を強化して「Digit@Link ActiBook」の販売を強化するとともに、「ココアル」の販売権も持ってアジアでも有数のITサービス会社を目指していく。

2013年に入って立て続けにアジアでの拠点を構えたのは、いずれもASEAN市場を意識してのことである。元々は中国の西安に出資比率30%の「スターティアソフト」を有しているが、スピード感ある展開力を強化する、という意向であろう。台湾での販売網の拡大を契機として、上海を始めとした中国全域への展開の早期化を狙っている。今後、急速にITインフラ投資が伸びるアジア市場に向けて販売拡大の手を広げていく上で、今回の上海100%子会社や台湾「ホーマデジタル」と同様に、直接的な資本投下と、業務・資本提携を同時に行ってゆく方針である。

実際にアジア市場における「Digit@Link ActiBook」の競合製品は、韓国の電子ブック「ジポット」くらいしか存在しない。「ジポット」は技術的に「Digit@Link ActiBook」の後塵を拝しており、「ジポット」の代理店も「Digit@Link ActiBook」の優位性を認めている。アジアで展開する日立も「ジポット」から「Digit@Link ActiBook」に代理店を乗り換えたばかりである。

「スターティア上海」は2013年6月より本格的な営業活動をスタートする予定で、すでに官公庁や銀行で「アクティブック」を試用している。日本と中国は対立感情が未解決のままであるが、台湾経由で中国に拡販を図れば、日本企業が直接現地で活動するよりも受け入れられやすい。その先に他のアジア地域での「Digit@Link ActiBook」の拡販を意図している、という格好だ。

上海ではサービスの第1弾として、中国・日本間の太い専用線を借りきった。「マネージドゲート・グローバルアクセス」と名づけ、専用線を小分けにして日系企業に貸し出すサービスを開始する。

中国は香港を除いてネット接続環境に難がある。Wi-Fiの接続エリアは狭く、帯域が狭いためファイル等のダウンロードに極端に時間がかかる。何よりも当局のデータ検閲が厳しく「フェイスブック」はいまだに閲覧できないという現状である。ソーシャルネットワーク全盛の現代社会でこのようなネット接続環境は致命的である。日本と中国を巨大な専用線でつなげれば、ネットの入り口と出口の双方を日本から持ち込むことになり、ネット環境は日本にいる場合と同様の利便性が得られる。

日系企業にターゲットを限定しても、それだけで数万社の潜在顧客にある。国内ですでに同社の「マネージドゲート」のサービスを利用している企業の中にも、中国拠点を持つ企業は多い。そのような企業は現在の不便さを実感しており、すぐにでも契約がとれる公算が大きい。専用線を大量に借りれば1回線あたりのコストは安くなるため格安な料金で提供することができる。まずは「マネージドゲート・グローバルアクセス」から事業化・収益化していき、次第により大きな市場開拓を狙う。

3カ年の中期計画である、営業利益で800百万円の目標達成は決して楽なものではない。事業規模が次第に大きくなって、知らず知らずのうちに目に見えないコストが増えている。

たとえば2011年3月度は、新卒採用の離職率が例年よりも目立った。営業に配属された新人が記念すべき初めての受注を取る「初オーダー」も、平均して例年より遅かった。その点を反省し、2012年は60余名の新人に対して力のあるマネージャー、統括クラスの社員が新人教育を行ってきた。それが2013年3月期の最高益更新につながっている。87名の大所帯を採用した2014年3月期はさらにコスト負担が増えることになる。

同時にクラウドサービスにおけるセキュリティを強化する必要性も増している。同社はホスティング事業を開始してすでに10年以上が経過するが、古くからの顧客の中には10年前の古いサーバーの中にデータを格納しているところもある。最近ではハッカーからの攻撃の脅威も増しており、レンタルサーバーやクラウドサービスの分野では、古い技術は早急にセキュリティ機能を強化した新しい技術に入れ替えなければならない。

その作業に2014年3月期から一気に着手し始めた。中期計画を策定した2011年3月期にはまったく想定していなかったコストが年1-2億円単位で発生している。そのためにホスティング事業に関しては、2014年3月期も売上高は伸びるものの利益ベースでは減少する公算が高い。その代わりに2015年3月期は大きく利益が出ることになりそうだ。

下期偏重の季節性の収益傾向を、ストック型収益を積み上げることで平準化する方向に軌道修正してきたが、2014年3月期は第1四半期に赤字を計上する可能性が高い。その分のマイナス要素が人材教育とセキュリティ強化の両面で増えている。2014年3月期は第2四半期から黒字計上となる見通しである。第2四半期から盛り返して、それまでに積み上げたものを第4四半期に利益として計上するという計画である。それだけに同社にとって今後は四半期業績の計画がより重要性を増している。

2014年3月期もすでにスタートして2カ月が経過した。ストック型売上は予定どおり順調に積み上がっており、グローバル化の布石であるアジアへの投資もスタートした。まさにエンジン全開でこの最終年度を駆け抜けることになるだろう。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 鈴木一之)《FA》

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